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これからの食の変化に関わり得る様々な技術

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2025年1月18日
  • 読了時間: 5分

更新日:2025年2月9日

先週のブログにて、2024年6月に食料安全保障上のリスクに対応するために改正法が施行された“農政の憲法”に伴い成立した法律についてお伝えさせていただきました。

今回は、その中の1つ「農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律」にも大きく関わる、これからの食に関連する様々な技術をご紹介させて下さい。

皆さんのもとに農作物が届くまでの主な工程ごとに、食生活に大きく影響を及ぼすのではないか?と私自身が感じている技術を、ピックアップしています。

そりゃそうなっていくよね、という感覚を持たれる方、そんなことまで進んでいるの?と感じる方、さまざまかと思います。どんな時間軸かは分かりませんが、いつか実現していく技術だと考えています。


種や肥料の開発

農作物を生産するには、種や肥料、ネットや機械など、様々な資材を利用します。中でも「種」と「肥料」は特に生産に大きく影響するのではないかと思っています。


ゲノム選抜AIによる短期間での品種開発

これまで主流だった、交配と選抜を繰り返しながら行う品種開発では、1つの品種を開発するのに10~15年はかかっていました。しかしAIを利用したゲノム情報からの個体の特性予測技術により、大幅な短縮が見込まれています。 また、現在は人工的に栽培環境を制御する装置を利用して、個別の気候条件に最適化された品種開発が行われているようですが、恐らく今後は仮想空間で様々な気候や土壌条件でのシミュレーションにより、さらに早く、個別最適化された品種開発が可能になっていくのではないかと考えています。

もしかすると、公開されたゲノム情報と、CRISPR-Cas9などのゲノム編集技術を利用し、それぞれの農地にあった品種開発を各自が行う、ということも可能になるかもしれません。

農研機構 農研機構の最新AI研究 より抜粋
農研機構 農研機構の最新AI研究 より抜粋

微生物などを利用した肥料や農薬

環境負荷や生態系への影響から、化学肥料や化学農薬に変わり微生物などを利用した肥料や農薬の開発が進んでいます。その地域の生態系に大きな影響を与えないかを注意して利用する必要がありますが、既に農薬については、栽培する植物の害虫の天敵となる生物の利用(生物農薬)は珍しく無くなってきています。 また、空気から植物が吸収できる栄養分を作ることができる微生物を培養した肥料も、開発されており、今後広がっていくのではないかと思っています。



下水汚泥を利用した肥料

以前のブログ(これからの下水汚泥肥料の普及)でもご紹介させていただいた、下水汚泥を利用した肥料。日本では化学肥料のほぼ100%を輸入原料に頼っており、地下資源の枯渇、環境負荷、価格の上昇に加え、国際情勢の変化に伴い、国を挙げて肥料の国産化を急ピッチで進めています。その一つが下水汚泥を利用した肥料で、これまで課題だった人体に有害なヒ素や重金属(カドミウム、水銀、ニッケル、クロム、鉛など)の除去技術が進んでいます。


農産物の生産

スマート農業という言葉から、真っ先にイメージされるのが生産の部分かもしれませんが、もしかするとイメージされているよりも、さらに進んだ状態が現実的になっていると感じられるのではないかと思います。


低エネルギー・低コストでの植物工場での自動生産~出荷

これまで、コストが合わず撤退をする事例も多かった植物工場ですが、AIを始め様々な技術の進化により、低コスト化が進んでいます。ご存じの方も多い事例かもしれませんが、既に以下のような植物工場が実現しています。


複数ロボットでの判断をしながらの協調作業

既に複数の機械が協調しながら作業を進める実証実験が日本でも進んでいます。また、仮想空間で様々な気候条件での栽培シミュレーションを行い、それを実際の栽培に活用するということも行われ始めています。 まだ“考えながら動く”には至っていませんが、今後AIエージェントの実装も加わり、仮想空間で多くの経験を積んだトラクターやドローンなどが、それぞれ判断、連携をしながら自動で作業を進めていく、ということも実現していくのではないかと考えています。

スマート農業技術活⽤促進協議会(仮称)準備会合 資料より抜粋
スマート農業技術活⽤促進協議会(仮称)準備会合 資料より抜粋

低コストのヒューマノイドによる作業

ヒューマノイドと言うとSFの世界のようにも聞こえるかもしれませんが、テスラが2026年にはヒューマノイドを量産する予定を発表しており、またNVIDIAがヒューマノイド開発の支援を加速することを発表するなど、現実世界のものになってきという感覚を持っています。

また、仮想空間で様々な体験を積ませ、現実空間へ変換をするという技術も進化してきているようで、かなり訓練されたロボットが出てくるのではないかと思っています。


細胞培養食品

“培養肉”は耳にしたことがある方も多いのではないかと思いますが、植物も培養によって生産されるようになるものが出てくるかもしれません。まだ実用化には至っていませんが、既にコーヒーの細胞培養が成功しているようです。


生産~流通~消費

この一連のデータを収集、連携、活用するための整備が進められています。消費者サイドのデータは個人情報にも関わるため、どこまでどのような形で実現していくのかイメージしきれない部分もありますが、全体が最適化、コントロールされた形になっていくのかもしれません。加えて、自動運転なども加わると、物理的な輸送も含めた合理化、最適化が進んでいくことが想定されます。

農林水産省 スマート農業をめぐる情勢について より抜粋
農林水産省 スマート農業をめぐる情勢について より抜粋

技術の進化により、大きな流れとしてはここでご紹介させていただいたようなことが進んでいくのではないかと思っています。しかし、それによる脆弱性や人間としての豊かさという観点から、全てがこうなって欲しいとも思えないというのが私自身の正直なところです。

これらの変化を受け容れた上で、どんな未来にしていきたいか、しっかり考え、行動していきたいと思います。

ぜひ皆さんも。こんな未来が来たら…、ということを少し想像してみていただけたらと思います。

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