top of page

しっかり加熱しても赤い色が残るハンバーグの原因になり得る、野菜に含まれる“硝酸塩”

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2月22日
  • 読了時間: 4分

更新日:6月14日

先日、加入者の方からこんな質問をいただきました。

先日行ったレストランでハンバーグを頼んだら中がまだ赤かったので、焼き直してもらいました。ただ、加熱後も赤い色が残っており、お店の方からは「中に入っている玉ねぎの影響で、火が通っていても赤いままになるケースがある」という説明を受けました。肉が野菜の影響で赤いままになるというのを始めて聞いたのですが、何かご存じですか?

低温調理をした時に、ピンクっぽい色が残っているというケースは私自身も経験したことがあったのですが、野菜との関係性については把握していませんでした。今回は、ご連絡を機に調べて分かった赤い色が残る背景をご紹介させてください。

肉の色が変化をするメカニズム

生の肉が赤い主な理由は、筋肉中に「ミオグロビン」という色素タンパク質が含まれていることです。このミオグロビンの中心には鉄イオンがあり、この鉄イオンの状態により色が変化します。

  • 生きている状態 ~ 屠畜直後│暗赤色(紫がかった暗い赤色、黒っぽい赤)

    • 生きている動物の筋肉内は、運動によって常に酸素が消費されているため、酸素が少ない状態です。屠畜直後や、真空パックの中も同様です。

    • この時、鉄イオンは酸素と結びついておらず(還元状態)で、暗い赤色となります。

  • 屠畜後に切り分けられ、空気に触れてしばらくの間│鮮赤色(鮮やかな明るい赤色)

    • 肉が切られて空気に触れると、ミオグロビンが空気中の酸素と結合します(オキシミオグロビン)。

    • ブル―ミングと呼ばれ、切り分けて15~30分ほどで鮮やかな明るい赤色に変化します。

  • 鮮度の低下│褐色(くすんだ茶褐色)

    • 長時間空気に触れたり、光に当たったりすると、徐々に酸化が進みます。

    • 鉄が錆びるような状態で、くすんだ茶色っぽい色に変色していきます。

  • 加熱による変性│褐色(灰褐色)

    • 加熱をすると、ミオグロビンの参加に加えて、タンパク質が変性して固くなっていきます。

    • 60℃くらいから変性が始まり、色も徐々に褐色に変化していきます。

    • 低温調理をした肉がピンクっぽいのは、この変性を抑えているというのが背景です。


しっかり加熱をしても肉の赤い色が残る理由

様々な食中毒菌やウィルスの死滅温度・時間を考慮して作る低温調理を除き、一般的には中心部の温度で75℃1分以上加熱をすることで安全に食べられると言われている肉。これをクリアした調理であっても、肉が褐色になり切らず、赤味を帯びた状態が残るケースとして、以下の2つが分かっているようです。


  • 一緒に混ぜた野菜に含まれる“硝酸塩”と反応したケース 一つ目は、ハンバーグのタネに玉ねぎなどの野菜を練り込んだ際、野菜に含まれる“硝酸塩”の影響で赤い色が残るケースで、冒頭でご紹介した加入者さまがレストランで聞かれた説明がこちらです。この“硝酸塩”は微生物や酵素などの働きで“亜硝酸塩”に変化し、肉の中のミオグロビンと結合すると、加熱しても赤い色が消えない物質に変化します。加工肉の発色を良くしたり保存性を高めるために使う“亜硝酸ナトリウム”という添加物をご存じの方も多いと思いますが、これと同じ現象です。 玉ねぎに含まれている“硝酸塩”は野菜の中でもかなり少ないと言われていますが、生のまま混ぜてしばらく置くことで、この現象が起きやすいようです。

  • 肉自体のpHが高いケース 二つ目は、肉自体のpHが通常よりも高いケースです。通常、牛や豚の肉は屠畜後に筋肉中の糖分が乳酸に変わるためpH5.5-6.0程度の弱酸性になりますが、生育や輸送などの環境によりpHが高くなることも。pHが高い状態の場合、ミオグロビンが熱に強くなり、十分な加熱を経ても赤いまま残るケースがあるようです。


とは言え、万が一しっかりと火が通っていないと危険なため、ひき肉のような酸素と触れる表面積が大きな肉の調理においては特に、以下のような観点で総合的に火の通り具合を確認し、不安な場合は再加熱をしていただければと思います。


    • 一番厚い部分に竹串を刺し、透き通った肉汁が出てくるか?

    • 濁っていないことが判断のポイント(加熱をしても赤味が残るケースの場合、薄いピンク色の透明な肉汁となるケースあり)

  • 弾力

    • 中央部分を押して、跳ね返ってくるような弾力があるか?

    • 押した部分が沈みこむ場合は、しっかり火が通っていない

  • 断面の質感

    • カットしてみて、中央部分の繊維がホロホロと崩れる質感か?

    • ねっとりとした粘り気が残っている場合は、再加熱が必要

野菜の中に発色剤にもなり得る“硝酸塩”が含まれると聞くと、少し不安を感じられるかもしれませんが、“硝酸塩”自体は土壌を含む自然界に広く分布しているもので、日常的に過度に意識をする必要はないと考えています。次回は、この野菜に含まれる“硝酸塩”について、少し深堀りをしてお届けできればと思います。

最新記事

すべて表示
世界で生産が拡大する“穀物”としてのとうもろこし

私たちに馴染みのあるとうもろこしはスイートコーン(甘味種)と呼ばれる“野菜”として食べるもので、とうもろこしの1%にも満たない生産量です。世界で生産されているとうもろこしのほとんどがデントコーン(馬歯種)と呼ばれる“穀物”としてのとうもろこしで、年々生産量が拡大しています。この“穀物”としてのとうもろこしについて、お伝えさせていただければと思います。 とうもろこしの種類 まずは簡単に、とうもろこし

 
 
古代中米から始まるとうもろこしの歴史

開催まで1ヶ月ほどとなった、今年の「コーン期 夏の風物詩 ー野祭ー」。開催に向けて、今週から何度かに渡り、とうもろこしにまつわるブログをお届けできればと思っています。 初回のとなる今回は、古代マヤ文明やアステカ文明などでは農耕の神様として崇められていた、とうもろこしの歴史を紐解いてみたいと思います。 メキシコ マヤ文明の古代都市カラクルムに残る壁画の一部 (とうもろこしの蒸し物やお粥など、とうもと

 
 
ないとう農園さんの野菜をふんだんに使った、くろねこ庵のおばんざいのご紹介

以前のブログ「おばんざい処「くろねこ庵」ポップアップストアが2日間限定でオープンします」でご紹介をさせていただいた、ゴルゴさんが店主を務めるおばんざい処「くろねこ庵」が、6/26(金)、27(土)の2日間、ポップアップストアをオープンされ、ないとう農園さん(埼玉県伊奈町)の野菜をふんだんに使ったおばんざいを中心にご提供されました。本日は、メニューを決めてそれに必要な野菜を注文するのではなく、普段皆

 
 
bottom of page