世界で生産が拡大する“穀物”としてのとうもろこし
- 秋山 智美
- 7月11日
- 読了時間: 4分
私たちに馴染みのあるとうもろこしはスイートコーン(甘味種)と呼ばれる“野菜”として食べるもので、とうもろこしの1%にも満たない生産量です。世界で生産されているとうもろこしのほとんどがデントコーン(馬歯種)と呼ばれる“穀物”としてのとうもろこしで、年々生産量が拡大しています。この“穀物”としてのとうもろこしについて、お伝えさせていただければと思います。
とうもろこしの種類
まずは簡単に、とうもろこしの種類をご紹介させてください。
デントコーン(馬歯種) 粒の外側は硬く中の方は柔らかいため、粒が成熟するにつれて中の柔らかい部分が収縮してくぼみ(デント)ができることから名づけられた、主に澱粉(コーンスターチ)、家畜の飼料、バイオエタノール等の原料として利用されています。とうもろこし生産のほとんどを、このデントコーンが占めています。
フリントコーン(硬粒種) 粒全体が硬い澱粉の層で囲われており、その硬さが火打石(フリント)のようだということで名づけられた、主に家畜の飼料、澱粉(コーンスターチ)、粉に挽いて食用として利用されています。
スイートコーン(甘味種) 私たちが普段とうもろこしと聞いてイメージをするのが、スイートコーンです。未熟な状態で収穫をして、野菜として食べる種類です。
ポップコーン(爆裂種) 加熱をすると粒の中の水分が膨張して弾け、ポップコーンになる品種です。ないとう農園さんでも少量栽培をしており、毎年12月に開催している「農園地」では粒を芯から外すところからポップコーンを作ったり、9月頃にはタイミングが合えば野菜セットに入ることも。
ワキシーコーン(糯種) 粒の外観がテカテカとワックスをかけたようことから名づけられた、もちもちとした食感のとうもろこしです。中国で突然変異により生まれたと言われており、中国から日本も含むアジア圏に広がりました。
ソフトコーン(軟粒種) 粒全体が柔らかく粉に挽きやすいとうもろこしで、コーンミールなど粉に挽くなどして食用で利用されています。
世界で生産が拡大する“穀物”としてのとうもろこし
世界で一番生産されている農産物サトウキビに続き、生産量が多いのがとうもころしです。食用としてだけではなく、家畜飼料としての利用拡大、2000年代からはバイオエタノールとしての利用拡大により、大きく生産量が増加(1990年から2024年で252%)しています。
GLOBAL NOTE収録のFAO出典データをもとに作図
令和8年3月農林水産政策研究所「世界の食料需給の動向と中長期的な見通し」より抜粋
日常生活の中に溢れるとうもろこし由来の製品
日本での日常生活に当てはめてみると、改めてとうもろこし由来のものの多さを感じていただけるのではないかと思います。
🥩肉や卵などの畜産物:40% 畜産における飼料には、牧草など繊維質を多く含む粗飼料と、炭水化物やたんぱく質などの養分を多く含む濃厚飼料があります。どちらにもとうもろこしが使われており、全体ではエネルギーベースで40%ほどと言われています。
🍰甘味料:澱粉由来の糖のほとんど
甘味をつける調味料である甘味料は、以下のように分類されますが、異性化糖(果糖ぶどう糖液糖など)・ぶどう糖・水飴・麦芽糖・トレハロースなど、澱粉由来の糖のほとんどが、とうもろこしから作られています。
独立行政法人産業振興機構の分類をもとに作図
📦工業製品:紙製品・錠剤などのほとんど
澱粉のほとんどが輸入とうもろこしを原料としており、紙の強度を上げるためや紙同士の接着に使う接着剤(澱粉糊)や、オブラートや薬を固めて錠剤にするための結合剤などが、代表的なものです。他にも生分解プラスチック、精密機械の製造、インキなど、様々なものに使われています。
今回は、生産量がどんどん増えている世界での“穀物”としてのとうもろこしについてご紹介させていただきましたが、それに対して生産を継続する難易度が高いのが“野菜”としてのとうもろこし。次回は、今後より希少性が増すのではないかと感じている、夏の風物詩でもある日本の“野菜”としてのとうもろこし生産について、お伝えできればと思います。
