保存の仕方から『生い立ち』に思いを馳せる
- 秋山 智美
- 2023年1月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年6月24日
先日お届けした野菜セットに、それぞれの野菜に適した保存場所を記載させていただいたのですが、アイコンだけでは表現しきれていない背景などをお伝えしたい!と思い投稿させていただきます。
アイコンでは主に適した「温度🌡」をベースに保存場所を表現しましたが、それ以外にも様々な
要素があります。また、最適な保存場所が空いていない場合や、使いやすさを考えた場合の
最適な場所は、その時々で変わってきます。
そんな時に今回お送りする内容が、保存方法を考える際に立ち返る情報になればと思います。
少し文字量が多くなりますが、まずは保存状態を左右する主な要因をお伝えさせてください。
1.呼吸による栄養分の消費
野菜は収穫した後も、呼吸を続けています。呼吸は野菜自身に蓄えていた栄養分を消費していくため、呼吸量を抑えることが重要です。温度が低いほど呼吸量は低下しますが、野菜ごとに低温障害を起こしてしまう温度があるため、考慮が必要です。
さらに、酸素が少ない状態での嫌気呼吸は栄養分の消費がより多くなるだけではなく、腐りや悪臭の原因とるため、密閉による酸素不足にならないよう注意が必要です。
2.水分の蒸散による乾燥
特に表面積の大きい葉物野菜は乾燥により萎れやすく、乾燥をさせない工夫が必要です。野菜を包装しているフィルムは、ゴミが多くなってしまいもったいないという印象を持たれる方もいらっしゃると思いますが、長持ちのための役割を果たしています。
一方で、長期保存をするために表面を乾燥させている玉ねぎやにんにくは、湿度の低い環境での保存が適しています。
3.生長による栄養分の消費
野菜は重力を感じて生長しており、それは収穫後も少ないながら続いています。アスパラを横に置いておくと、上向きに曲がっていくのを見たことがある方も多いかもしれませんが、これは重力を感じて上に行こうとするためです。こうなってしまうと、余分な栄養分を消費してしまうため、畑にある状態と同じ向きで保存をすることが基本になります。
特にこの傾向が強いアスパラ、ねぎ、春菊などは、保存の向きに気を付けていただけたらと思います。
4.エチレンガスによる成熟・老化
エチレンは野菜や果物などが分泌する植物ホルモンの一種で、熟成・老化を促す働きがあります。
野菜により生成量は異なりますが、一般的に果実(野菜ではトマトなど)からの生成量が多くなります。未熟なキウイをりんごと一緒に置いておき、熟れてから食べるという経験があることも多いかもしれません。
追熟をさせたい場合を除いては、エチレンを生成しやすい野菜はフィルムで包むなど、一緒に保存をする野菜の老化を防ぐ工夫が必要です。
5.微生物や細菌による腐敗
特に傷や切り口がある場合は注意が必要です。温度が高いほど活動が活発になる微生物や細菌が多いため、一般的に常温保存が良いとされている野菜の場合も、カットした残りを保存しておく場合はラップなどで切り口を包み、野菜室などで保存してください。
6.低温障害
呼吸による栄養分の消費や、微生物や細菌による腐敗を防ぐという観点では、温度が低い方が良いとお伝えしたのですが、野菜により耐えられる温度の限界値が存在します。一般的にはその野菜が育ってきた温度と相関しており、夏野菜はあまり低温で保存しない方が良い、という事を聞いたことがある方もいるかもしれません。
ここまで書いてみると、野菜を自分自身に置き換えてみた時にどんな環境が良さそうか?をイメージしてみると、何となく適切な保存の仕方が見えてくるような気がしてきます。
どこにどうやって保存しよう!?と迷った際は、ぜひ少しだけ『野菜の生い立ち👨👩👧』に思いを馳せてみていただけたらと思います。

もしご興味がある方は、農研機構という研究機関が発表している「野菜の最適貯蔵条件」も覗いてみてください。
