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機械化について考える

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2023年7月29日
  • 読了時間: 5分

先日、とある加工品の試作をしていたのですが、その中で「機械化」について考えさせられることがありました。そこで思い出したので、昨年のらくら農場さんで導入した、玉ねぎを収穫する機械。導入に至った経緯で、私自身いくつかの大切な気づきがあったため、あくまでも私の捉え方ではありますが、ぜひ皆さんにシェアさせてください。

農業に関わるニュースなどでも、大規模化、機械化による効率化という話題を耳にしたことがあるかもしれませんし、何より私自身が、のらくら農場さんで働くまでは徹底的に作業効率を上げることが善だと思っていた節があるかもしれません。もちろん、とても大切なことではあるのですが、一方で忘れてはいけないことだと改めて認識したことをお伝えさせていただければと思います。


多品目生産における機械化

単一の作物を広大な畑で作る場合と異なり、多くの種類の野菜を作る場合の機械導入は、使える用途が限られるため投資効率が悪くなりがちです。そのため、単一の作物を作っている農家さんと比べて人力で行う作業が多いのですが、その中でも常により効率的に作業を進められることは無いかを考えながら、日々改善を重ねています。

その積み重ねによって、畑の作物により向き合う時間を作り品質をあげたり、スタッフの働きやすさを生み出したり、新たなチャレンジへの投資をしたり…、ということに繋げています。


玉ねぎの収穫を機械化した背景

のらくら農場さんの玉ねぎ収穫の特徴として、以下のようなものが挙げられます。

  • 多くの作業との時期の重複 玉ねぎの収穫をする時期に多く出荷をしている夏野菜は、1本から沢山の実をつけるため、収穫量した量に応じて畑に肥料を追加していく必要があります。そのため農場では、収穫・出荷をしながらの「追肥(ついひ)」という作業に追われています。 加えて、秋に収穫する野菜の準備が始まるのもこの辺りからです。畑の準備、種まきなど、様々な作業が重なってきます。

  • まとめて一気に収穫をする 日々、出荷量に合わせて収穫をする作物とは異なり、最適な時期に一気に収穫をし、適切な環境下で貯蔵をしながら出荷をします。まとまった時間の確保が必要なため、他の作業をひっ迫する一方で、機械化をしやすい作業です。

  • 作業できるタイミングが限られる 貯蔵をして保存する作物のため、湿気の少ないタイミングでの収穫が必要です。そのため、収穫をする時に晴れていることは勿論、前日に雨が降り畑が湿っている状態での収穫ができません。天気や畑の状態を見ながら、タイミングを見計らって時間を確保する必要があります。

  • 炎天下での長時間の作業 前述の通り、晴れた日に長時間の作業が必要なことに加え、収穫の時期が夏になります。炎天下の長時間の重労働は、スタッフの体への負担も大きな作業です。

まとめると「忙しい時期に、まとまった時間を取って、タイミングを見計らいながら行う必要がある重労働」です。


しかし冒頭でも触れた通り、単一の作物を大量に生産している場合と比較して1種類ごとの生産量は少なく、玉ねぎにしか使えない機械の導入では投資対効果が合いません。玉ねぎと近い機械の動作で収穫ができる、じゃがいも、人参でも導入が見込めることが検証できたため、機械を導入するという結論に至りました。


身体的な負担や作業効率を越えた「気持ち良さ」

投資対効果が見合う状態にできるという事が見えてきて、具体的な機械の選定を進めて行く中で、何人かのスタッフからぽろっと「炎天下の畑で無心に玉ねぎを収穫している時間、気持ち良かったな…」という声が聞こえてきました。


私自身、前職で業務を徹底的にスリムにするということをやっていた時期があるのですが、その時に関わらせて貰っていたスタッフの皆さんの顔が過ったタイミングでした。当時も同じような声があったであろう中、聞けていなかったのではないか、と。簡単に数値化できるものだけを見たら、機械導入をすることがどう考えても合理的ではあるのですが、数値化できないこの「気持ち良さ」を無視して良いかというと絶対の違うな、とはっとさせられる声でした。


最終的には皆で議論した上で機械の導入に至ったのですが、この「気持ち良さ」を改めて大切にする一つのきっかけになっていたのかもしれません。のらくら農場代表の萩原さんご本人に確認をしたことは無いのですが、この「気持ち良さ」が今年完成した新しい木造の出荷場で体現されていると思っています。


野菜を作っている過程で、関わっている人たちがどんな気持ちで向き合っているのか、数値化はできないですし、野菜を見て分かるものではないかもしれませんが、野菜の価値を左右する大きな要因なのではないかと改めて感じています。



変化への対応力を持つ

もう一点、機械化を考える上で大切なこととして、長い目で見た変化への対応力があると思っています。

ソフトウェアとは異なり、現時点では特定の機械でできることは限られています。例えば、畝の高さ、幅、株間や条間(種や苗の間隔)など、もちろん調整はできますが、それでもその機械に畑づくりが規定されていくことになります。その機械専用の苗を販売しているケースすらあります。


作っていた作物や品種が気候や病害虫などの変化により作れなくなる可能性、いつも使っていた肥料などが入手できなくなる可能性、もしくは食糧が不足でより多くの作物を作らなくてはいけなくなる可能性など、様々な変化が考えられる中、どのような変化を想定して投資をするか。野菜づくり、一つひとつの作業の本質を理解した上でというのはもちろんのこと、未来の可能性をどのように考えるか、想像力が問われると改めて認識しました。

他にも様々な観点があるのではないかと思いますが、玉ねぎの収穫機を導入する際に感じたことをお伝えさせていただきました。

次回は最近あまりお送りできていなかった、のらくら農場さんの畑の様子をお送りしたいと思います🌱

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