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農産物の環境負荷軽減に関する動き

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2024年3月9日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年3月9日

前回は、3月1日から新たに運用がスタートした、農産物の生産における環境負荷軽減の取り組みを見える化したラベルの概要についてお伝えさせていただきました。今回は、このようなラベル導入の背景や今後について考えてみたいと思います。


環境負荷の現状

この図はプラネタリーバウンダリー(地球の限界)と呼ばれるもので、地球環境が安定した状態を保つために影響のある9つの項目ごとに、地球が耐えられる限界値に対してどの程度切羽詰まった状態にあるのか?を表したものです。スウェーデンのヨハン・ロックストローム博士らが2009年に初版を発行してから、2014年、2022年の改訂版を経て、昨年2023年に4回目の改訂版が発行されました。

もちろん、地球の状況や人間の活動による影響度合いを全て把握、可視化できる訳ではないですが、現時点で可能な範囲での現状を示しているものなのではないかと思っています。図の一番内側の緑色の円が安全圏内を示しており、成層圏オゾン層の破壊、大気温泉、海洋酸性化を除く6項目において、安全圏を越えていることを表現しています。

※それぞれの項目の概要

生物多様性の喪失

生態系全体の破壊状況です。種の絶滅の加速度という遺伝子という観点から見た多様性の喪失と、それにより失われる貯水、浄水、防災などの各種機能の損失状況を示しています。

気候変動

異常気象、天候の変化、海面上昇などの気候変動の状況です。主な要因となる大気中のCO₂濃度と、地表面の温めやすさ度合いである放射強制力を示しています。

新化学物質

合成化学物質、人為的に作られた放射性物質など、人為的に作られた有害物質によるリスクを表す項目です。まだ研究があまり進んでいない分野で、人間や生態系への健全性は考慮されておらず、現時点での評価はこれまでに利用されてきた安全性が不明の物質の利用量をベースに行っています。

成層圏のオゾン層破壊

人工の化学物質であるフロンなどによる、オゾン層の破壊状況です。オゾン層が破壊されることにより地上に到達する紫外線が増加しますが、1987年にモントリオール議定書が採択されフロン等の禁止義務化が始まり、数十年後にはオゾン層が回復する見込みと言われています。

大気汚染

PM2.5などの、工業活動や火災から放出される粒子状の大気汚染物質による影響を示しています。

海洋酸性化

大気中に排出されたCO₂が海洋中に溶けて、海水が酸性化する度合いです。プランクトン、貝類、甲殻類など、多くの生物に直接的な影響が、食物連鎖を通じて生態系全体へ大きな影響があると言われています。

人為的な地球規模での物質循環

生物、水、大気、土壌などを通じた、窒素(N)とリン(P)の、人為的な循環を示しています。産業革命以降の食料増産において、肥料として多く利用されてきたことにより起こっています。

淡水の変化

水に恵まれた日本では感じにくい内容ですが、気候変動や地下水の大規模な利用などにより、世界各地で水ストレスが高まっていくと言われています。グリーンウォーターと呼ばれる植物が利用できる土壌水分と、ブルーウォーターと呼ばれる河川や湖水などの地表水および地下水、それぞれの量の変化を示しています。

土地利用の変化

世界的な農地や放牧地の拡大、森林火災などによる、急速な森林面積の減少を示しています。


経済成長と環境負荷の関係性の認識変化

これまでは環境負荷が相対的に小さくなるような経済活動は、そうでないものと比較して収益性が上がりにくく、環境保全と経済性を天秤にかけるというような考え方があったかと思いますが、徐々に長期的な経済性を鑑みても環境負荷を下げていくことが必要という認識が広がりつつあるのは、多くの方が感じられていることではないかと思います。

2021年にはネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)という、温室効果ガスの排出正味ゼロを目指す業界団体(現在は500以上の機関投資家や銀行が加盟)が設立され、各国政府に向けて2050年カーボンニュートラルを要求する声明を出すという動きが起こっています。

このような動向の中で、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が2023年6月にスコープ3と呼ばれる原材料の調達や輸送、製品の廃棄も含めたサプライチェーン全体での温室効果ガスの排出量開示義務化を決定しました。そして日本においても、東証プライム上場企業を対象に同様の基準を義務付ける検討が始まっています。

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html より抜粋

農業における環境負荷の可視化

これから海外への輸出や、国内においてはまずは上場企業との取引において、農作物の生産における環境負荷の可視化が必要になっていくと思っています。前回お伝えさせていただいたラベルも、大手スーパーやJA、卸など100団体近くが参加した実証実験を経て本導入をしており、前回お伝えさせていただいたラベルも、大手スーパーやJA、卸など100団体近くが参加した実証実験を経て本導入をしており、取引先に求める企業が出てくるのではないかと思っています。

環境負荷を低減する、消費者が選択できるようにするという観点でも、必然的な流れではないかと感じる一方で、グリーンウォッシュと言われる実態は伴わないが環境に配慮しているように見せかけるものや、逆にそのようなものを規制するための細かな規定の増加など、本質的ではないことも多くなっていくことが想像できます。


改めて、そのようなものを見る目を持っていくことの必要性と、直接確認できる関係性を作っていくことの重要性を感じると共に、保けん野菜ではそのような価値を提供していきたいと思っています。

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