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野菜の生産コスト上昇について考える

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2023年12月16日
  • 読了時間: 4分

更新日:2023年12月19日

今月に入り、何名かの方から野菜セットの到着遅延のご連絡をいただきました。遅延してのお届けとなった皆さまには、鮮度が落ちてしまったり、買い足しが必要になってしまったり、予定したメニューを作れなかったり、家を空けにくくなってしまったりと、ご負担をお掛けしてしまいました🙇🏻‍♀️私自身、翌日配送や時間指定での配送が当たり前になっている現在の生活にすっかり慣れていますが、改めて普段とてもすごいシステムの中で便利さを享受しているのだということを再認識させられる出来事でした。12月は他の月の135%ほど荷物が多くなる傾向のようで、これまではこの時期特有のことだったのかもしれませんが、物流の2024年問題(※)のことを考えると、今後も継続的に起きうることを考えて対応を考えておかないといけないと考えています。

このような、どこかにしわ寄せがいっていた問題が表面化してくる事象は、野菜についてもこれから起こってくるのではないかと思っています。今回は野菜の価格と生産コストについて、お伝えさせてください。


※長時間化しているトラックドライバーの労働時間への対応として、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働時間の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足が懸念されています。国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、2024年問題に対して何も対策を行わなかった場合には、営業用トラックの輸送能力が2024年には14.2%不足、2030年には34.1%不足する可能性があると試算しています。


日本のトラック輸送産業 現状と課題 2023(全日本トラック協会)より抜粋

のらくら農場 萩原さんとの会話で感じた危機感のリアリティ

先日、のらくら農場 萩原さんとお話をする中で、身近な方の廃業が続いているという話を伺いました。資材価格などを含めた生産コストの急増と販売価格を連動させることができず、廃業を選択されるというケースをこれまでも伺ってきましたが、短期間で複数の農家さんの廃業の話を聞くことはこれまでのペースとは少し変わってきているという感覚です。

加えて、地元の野菜をセットにしてお届けしている団体から、まったく別の地方にも関わらず野菜購入の問い合わせがあったとのこと。背景は明確ではありませんが、前述のような生産者の廃業や気候の影響などが重なって、地元で品質の高い野菜を安定的に確保することが難しくなってきているのではないかと想像しています。


農業生産資材価格の推移

最近は耳にする機会も多い農業生産資材価格の高騰ですが、農業生産資材には、種、肥料、農薬などの他、軽トラやトラクターに利用すガソリン、ハウス温度管理などの電気、ネットやマルチ、段ボールなどの消耗品、ハウスや出荷場などの建設に利用する資材など、様々なものがあります。2020年を基準とすると、これらの価格は全体で1.2倍ほどに、肥料に至っては直近は少し下がっていますがそれでも1.4倍を超える価格となっています。

農業物価指数ー令和2年基準ー(農林水産省)より作表

野菜価格の推移

生産コストの上昇に伴い野菜の価格も上がっているのではないか?と感じられている方もいらっしゃるかもしれませんが、特に市場を経由して取引をされる場合、野菜の価格は基本的に需要と供給のバランスで形成されています。食料品全体の価格は原価高騰を受けて以下の通り徐々に上昇していますが、生鮮野菜については直近は猛暑と雨不足の影響などにより高騰していますが、農林水産省のホームページにも“11月後半には多くの品目が平年並みの価格に落ち着く”という見込みが記載されています。

こちらのブログでも野菜の価格形成について少し触れているので、ぜひ併せてご覧ください。

2020年基準 消費者物価指数(総務省統計局)より作表

一般的に野菜の販売価格のうち50%弱を生産者が受け取っていますが、そのうち70%ほどが生産のために必要なコストと言われています。コスト増分を価格に反映できなかった場合の収入を考えると、冒頭の萩原さんのお話にあった廃業という選択となるというのも、理解ができます。

価格の上昇は目の前の生活にとってはできれば避けて欲しいと思ってしまいますが、未来からの前借りをしてしまっていないかどうか?という視点を持って判断をしていかないといけないと思っています。保けん野菜では一般的な価格よりも高い価格で野菜をお届けさせていただいており、皆さんのご理解にとても感謝しております。安心して皆さんに野菜をお届けし続けていけるよう、引き続きサービスを磨いていきたいと思います。

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