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鹿肉解体から考える、野生動物と人間の暮らし方 ~鹿肉解体の背景と概要~

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2025年11月2日
  • 読了時間: 4分

数年前からニュースでも耳にすることが増えた熊による被害。特に今年は現時点で既に12名が亡くなられており、お住まいの地域によっては、また旅行などのことを考えると、怖さを感じられている方もいらっしゃるのではないかと思います。私自身は、ちょうど先月鹿肉を丸ごと捌くという経験をしたこともあり、野生動物と人間の暮らし方について考えさせられています。今回、次回と、鹿肉解体と、そこから考える野生動物と人間の暮らし方について、お伝えさせてください。

狩猟免許取得の背景

食の中でも、野菜やお米以上に、口にするまでの工程を目にすることがない、肉。両親から聞く両親の幼い頃の話から、一昔前の特に地方では、各家に家畜がいて、卵や牛乳をとったり、農作業を行ったり、最後は屠殺をして食べたり…、ということも珍しくなかったのだと思います。地球上の哺乳類の総重量のうち、62%が家畜(※)と言われている中、現在の生活において肉をパックに入った姿以外で目にすることは、ほとんどありません。魚を釣って捌いたことはあるものの、哺乳類というもう一段自分に近い生物を、日常的には難しくても、いつか自分の手で命を奪い、いただく、ということをしなければならないのではないか、そんな感覚をだいぶ以前から持っていました。

そんな中、数年前に首都圏から長野に住まいを移すと、鹿をはじめ野生動物が当たり前のように近くにいたり、猟期(狩猟が許可される期間で、原則11/15~2/15)になると山の中から鉄砲の音が聞こえてくることも珍しく無かったり、時に知り合いから鹿肉や猪肉をいただいたり…。ぐっと肉を自ら捕っていただくということが身近にある環境になりました。

そのような背景で、昨年、狩猟免許を取得しました。猟期が終わる頃に取得をしたこともあり、まだ狩猟そのものをやったことは無く、今シーズン、チャレンジしたいと考えています。


※地球上の哺乳類の分布


わな猟における命を奪う過程

狩猟免許にはいくつかの種類があるのですが、私はその中で銃を使わない「わな猟」の免許を取得しています。銃を使う場合、基本的に銃で命を奪うことになりますが、わなの場合は、わなにかかった段階では、鹿は身動きが取りずらい状態で生きています。そのため、止め刺しと言って、至近距離で生きている鹿に対峙し、命を奪うという行為が必要になります。最も一般的なのは、棒で投打をして失神させた上で、刃物で頸動脈などを切るという方法です。また、電気ショックを与えるという方法もありますが、いずれにしても鹿と対峙した状況を想像をすると、本当に自分にできるのか?という不安がゼロではありません。ただ、普段は別の形ではあるものの、どこかで誰かが担ってくれていること。できるのか…、というよりも、“やらねば”、という感覚が大きいです。


鹿肉の解体

今回は、猟期の始まる前の実践的な講習会ということで、事前に猟友会の方が有害鳥獣捕獲(地域ごとに許可を受けて、指定された動物、期間に鳥獣による被害防止を目的に行う捕獲)として、事前に捕獲をして内臓を取り出してもらった状態の鹿を、解体させていただきました。内臓を取り出してあるとはいえ、目を開いた状態で顔もついており、さっきまで生きていたということを感じる中、まずは皮を剥ぎ、頭を落とします。ここまで行くと、“生物としての鹿”から、“食肉としての鹿”に変わったような感覚になりました。

ただ捕獲された鹿などの野生鳥獣のうち、食肉やペットフードなどの形で利用されているのは15%ほど(鹿以外も含めた概算)。残りは焼却などの形で処分されています。狼の絶滅、里山の人口減少や荒廃、ハンターの減少、野犬の減少、気温の上昇による降雪の減少など、様々な理由が言われている鹿の増加(※)ですが、それによる森林破壊、農業等への被害、生活への影響も年々大きくなっており、有害鳥獣としての鹿の個体数を減らす目的での捕獲がメイン、というのが背景です。


※ニホンジカの個体数の推移 グラフでは表記されていないですが、明治初期には現在と同程度の個体数がいたという研究結果もあります。その後の乱獲により激減し、それを踏まえて保護をていた期間も経て、現在に至っています。

環境省「全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等の結果について」(2024年4月26日)
環境省「全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等の結果について」(2024年4月26日)

人間の活動に左右されて増減をしてきた鹿。人間の都合で個体数を減らすのであれば、しっかり食べるという出口とセットで行いたいと、解体をしながら痛感しました。

次回は鹿に限らず、野生動物と人間の生活について、明確な答えを出すのが難しいですが、現時点での考えを共有させてください。

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