根菜の鬆
- 秋山 智美
- 2024年1月20日
- 読了時間: 3分
タイトルの「鬆」という漢字、何と読むの?と思われた方も多いかもしれません。「スが入る」などの表現で使う「ス」です。先日、野菜セットをお届けした方から、以下のご連絡をいただきました。
今回届いた人参に「ス」が入っていました。
「ス」の入った人参は熱を通して食べていただいたとのことでしたが、今回は人参を始めとした根菜類に入ってしまうことのある「ス」について、主に考えられる原因や背景をお伝えできればと思います。

栽培中の水分や養分不足
栽培中、水分や養分が不足してしまうと、スが入ってしまうことがあるのですが、今回の「ス」はもしかするとこれが原因かもしれないと考えています。 今年の夏は雨が少なく暑い日続き、ないとう農園さん、のらくら農場さんからも、それぞれ以下のようなお話を伺いました。
これまでは自然に降る雨だけで栽培ができていたが、今年はこの時期に初めて水やりをしました。
水やりの時間がかなり増えてしまい、終わらせるためにヘッドライトをつけながら夜中までスタッフが作業をしてくれてしまいました。それでも発芽が上手くいかなかったり、形の悪いものや割れるものが多かったので、例年より多めにジュースをつくりました。

日常的に水やりをしていると思われる方もいらっしゃるかもしれないのですが、露地と呼ばれる屋外での栽培では、雨を含めて自然環境を最大限に利用して行っています。また、畑には水道が無く水も大量に必要なため、写真のように大きなタンクに水を貯めて軽トラで運び、水やりをします。これを何枚もの畑に、何回もやるという作業が、今年は天候の影響もあり多く発生してしまいました。

栽培中のステージ変化
人参などの根菜は、根っこに栄養分をため込み、花を咲かせて種を作り、子孫を作ることに備えています。特に冬~春にかけて暖かくなると、これまで根っこに貯めていた栄養分を使って、花を咲かせる準備に入ります。このようなステージへ変化すると、徐々に「ス」が入ってきます。 根っことは逆に、このタイミングでは蕾や花には栄養が集まり、活発に細胞分裂が行われるため、蕾や花の周辺は柔らかく美味しくいただけます。菜の花が柔らかく美味しいのは、そのためです。

保存中の乾燥や養分の消費
以前のブログでも少しご紹介をさせていただいたのですが、根菜などの野菜は一部の季節を除き、収穫したてではなく貯蔵を経てお届けしています。貯蔵をする際は、地下の室(むろ)や、地面の下など、その野菜の貯蔵に適した温度や湿度を考慮して行っているのですが、出し入れや気候の変化などにより貯蔵環境が変化してしまう場合があります。乾燥したり、蓄えていた養分を呼吸によって消費したりすると、「ス」が入ってしまうことがあります。ご自宅での長期保存でも、同様に「ス」が入ってしまうことがあるので、ご注意下さい。

これだけを聞くと、貯蔵をしない方が良いのでは?と思われるかもしれません。しかし、収穫したてのジューシーさや風味は減っていく一方で、適切な貯蔵により甘味や旨味がぐっと凝縮されていきます。貯蔵を経たからこその美味しさも、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
もしかすると、少し形が歪だったり、少し傷んでいたり、虫がついていたり、今回のようにスが入っていたり、お届けした野菜について、これは何だろう?どうしてだろう?ということがあるかもしれません。もし何かお気づきのことがありましたら、ぜひお気軽にご連絡をいただけたら幸いです🙇🏻♀️
