これからのお金について考える ~お金の歴史と本質~
- 秋山 智美
- 2023年12月2日
- 読了時間: 5分
更新日:2023年12月2日
前回のブログにて、保けん野菜では野菜を資産と捉えて考える中で、これからのお金のあり方についても考えた結果、資産のごくごく一部を暗号資産で保有し始めることにした旨と併せて、その背景としてお金の歴史についてお伝えさせていただきました。「価値の尺度」「価値の交換」「価値の保存」という機能を持ったお金の誕生までを振り返りましたが、今回はその先の現在のお金に至るまでに加え、これからのお金について考えてみたいと思います。

銀行の発達と信用創造
国家という権力が信用を担保したコインが作られ、更に国を跨いだ交易が盛んになってくると、持ち運ぶ難易度やリスクの増加に伴い手形が利用されるようになっていきます。加えて、国家権力の衰退、これまで宗教上の理由から禁止されていた利子を両替の手数料として取る手法の誕生、アラビア数字を利用した会計技術の輸入など、様々な要素が重なり、銀行業が発達していきます。
そしてその後、ストックホルム銀行が信用創造という仕組みを作り出します。それまでの銀行による融資はその銀行が保有しているお金の中から貸し出すものでしたが、保有資産以上の融資を行うという信用創造により、これまで国が発行していたお金を銀行が生み出せるようになります。
中央銀行の誕生
銀行の発展に伴うお金の共有過多によるインフレなどの社会混乱の発生や、戦争による国家としてのまとまったお金の必要性などにより、お金をコントロールする必要性が出てくることにより、政府の銀行、銀行の銀行、紙幣の発行という役割を一貫して持つ、中央銀行が誕生します。これにより、現在一般的に利用されているお金である中央銀行券が誕生します。
ここまでお金の歴史を振り返ってきましたが、さらに今、暗号資産の登場や、国内ではデジタル円の発行が決まるなど、お金や資産の在り方に大きな変化が起き始めていると感じています。保けん野菜でも、その変化を捉えた試験的な動きを始めているのですが、その過程で、改めてお金の本質について思考を巡らせています。以下では、そのヒントとなりうる事例をいくつかご紹介させていただきたいと思います。
お金の本質を考えるヒントとなる事例
ここまでお金の歴史を時系列で振り返ってきましたが、お金の本質のヒントとなりそうな事例をいくつかご紹介させてください。 ※もしご興味のある方は、ぜひ「21世紀の貨幣論│フェリックスマーティン」も読んでみていただければと思います。
メソポタミア文明のトークン
メソポタミアには、例えば小麦を誰かに借りる、家畜を誰かに借りるというときに、粘土で出来たトークンと呼ばれるフィギュアをブッラという粘土製のボールに入れて封印し、きちんと返済がされるとブッラが割られて債務が無くなるという仕組みがありました。この改ざんできない記録としてのトークンとブッラが、期日になったら返済される証として認識されていたことで、数千年前から成り立っていた信用取引です。この仕組みは、その後徐々に変化をし粘土板に取引の履歴を刻む(ここに刻んだ文字が楔形文字の誕生の経緯と言われています)会計技術にも繋がっていきます。
ヤップ島のフェイ
ヤップ島という太平洋に浮かぶ島で使われていた、直径30㎝~大きなものでは4mほどにもなるフェイと呼ばれる石貨があります。このフェイは石の大きさや材質によってその価値が決まっており、所有権を持っている人がその価値分の取引を行うことができます。フェイの価値に応じて住民同士の取引は盛んに行われるものの、取引相手との間で債務は相殺され、残った分は繰り越して次の取引に使っており、このフェイそのものを取引ごとに移動をさせるということは殆ど無いことに加え、履歴を石に刻むことすらありません。更にフェイは、所有権を持っている人が実際にフェイそのものを所有している必要がなく前の持ち主の土地にそのまま置かれており、中には海の中に沈んでしまったフェイの所有権を持っているケースもあります。フェイの価値と所有権を、住民が共通認識を持つことにより成立していた仕組みだと思います。
アイルランド銀行閉鎖時のアイリッシュ・パブ
1970年5月1日、アイルランド銀行がアイルランド国内店舗を無期限で閉鎖しました。そのため、その時点で手元にあった現金を超える額の支払いは、銀行口座に残っているお金を引き出せるようになってから支払う前提での小切手での取引をするしかありませんでした。この閉鎖は同年11月17日まで続いてのですが、それまでの間かなりの混乱が発生したのではないかと想像してしまいますが、実際には小切手での取引がうまく機能し、大きな混乱は発生せずに収束をしました。小切手での取引では、本当に返済されるのか?という信用をどのように担保するかが重要になりますが、銀行が機能していない中、当時アイルランドで緊密なコミュニティが築かれていたアイリッシュ・パブが接合店となり、小切手を集め、裏書きをするという、銀行の代わりのような働きをすることで、混乱を防げたと言われています。
保けん野菜で実験的に暗号資産を保有する理由
これまでのお金の歴史を振り返ってみると、“信用”というキーワードを中心としながら、その時代背景により分散(各コミュニティでの自然発生的な経済活動、銀行の誕生など)と集中(国家による通貨の導入、中央銀行の誕生など)を繰り返しているように捉えられます。それの流れや社会の変化を考えると、これから徐々に分散の方に向かっていくと考えています。そして最後にお伝えした3つの事例は、ブロックチェーンを利用した暗号通貨の技術や、それを活用したこれからのお金の在り方に通じるものがあるように感じています。
投機としての暗号資産の保有ではなく、これからのお金をリアリティを持って考えていく、実装準備をしていくためにまずは実験的に保有をし、保けん野菜として今後どのような価値を作っていけるかを試していきたいと思っています。

