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種のはなし ~種の自給~

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2023年4月22日
  • 読了時間: 4分

更新日:2023年11月18日

私たちは、歴史の中で積み重ねられてきた品種改良の産物としての農産物を食べているということ。品種改良の仕組みや、品種改良のスピードがどんどん速くなっているということを、前回のブログに書かせていただいました。また前回は触れていませんでしたが、このスピードはAIの進化により益々速くなっていくことが見込まれます。


今回は“種のはなし”の続きとして、「種の自給」についてお伝えできればと思っています🌱最近は様々な社会の変化をきっかけに「食料自給」が話題に上がることも多いですが、食料自給率には反映されない、種の自給についてお伝えさせてください。

普段食べている野菜のルーツ

まずは普段食べている野菜のルーツについて、少しご紹介できればと思います。

日本原産の野菜として確認されているのは、三つ葉、自然薯(じねんじょ)、茗荷(みょうが)、山葵(わさび)、蕗(ふき)、芹(せり)、独活(うど)、蓴菜(じゅんさい)、山椒(さんしょう)など、約20種類ほどと言われています。

これを見てみると、普段の生活で食べている野菜のほとんどが、日本以外をルーツに持つ野菜という事が分かります🗺️

畑で冬を越えた『のらくら農場』の三つ葉

縄文時代から日本で栽培されていたと言われている里芋や蓮根、安土桃山時代にキリスト教などと共に伝わったとされている南瓜(かぼちゃ)やじゃが芋、明治時代にアメリカから入ってきた玉葱やピーマンなど、様々な人や文化の交流と共に、多くの野菜が伝わってきました。

日本に入ってきた野菜は、例えば江戸時代の藩の領地変更や参勤交代など、人の行き来と共に各地に広がり、それぞれの地域で気候や風土への適応や、人による種の選抜を繰り返していきます。そして現在、在来種や伝統野菜と呼ばれるような、その土地に根付いた野菜となっていきました。



品種改良によるF1種(交雑第一種)の登場

長い歴史の中で、各地で選抜を繰り返しながら受け継がれることで、代を重ねても形質が大きく変化しない「固定種」と呼ばれる種になっていきました。しかし“大きく変化しない”と言っても、自然界での交配をしているため少しずつ形や大きさ、生育時期などがばらけます。

そこで大量生産に適した種として開発されたのがF1種です。雑種の一代目は、親世代よりも生命力が高く、形や大きさ、生育時期などの性質も揃った子世代として生まれてくるという性質があります。この性質を活かしたF1種は、均質な野菜を効率良く育てることができる種として、1920年代にアメリカで初めてトウモロコシが、野菜としては日本で初めてナスが開発されました。現在日本で流通している野菜の99.5%は、このF1種と言われています。


F1種は効率良く野菜を生産するにはとても適した種である一方で、この性質が出現するのは雑種の第一代目に限られるため、種を採って栽培するのには適していません。そのため野菜の生産においては、種は購入して育てるというのが一般的になっています。

※購入した野菜から種を採って育てたことがある方は、形が歪だった、購入した時とは味が大きく違った、という経験があるかもしれません。これはまさに、F1種の二代目以降に見られる特性です。



種子の自給

最後に、購入をしている種はどこで栽培されているか?について、お伝えできればと思います。

野菜の種子において、日本メーカーの世界シェアは比較的高く約17%を占めており、日本で流通している野菜の種のほとんどが日本メーカーのものです。しかし、種の生産自体は海外で行っていることが多く、日本で流通している野菜の種のうち、日本で生産されているのは約10%に過ぎません。食料としての野菜の自給率は約80%ですが、ここには種の生産は反映されていません。

種採り用の『のらくら農場』の広茎水菜

海外で種を生産する理由としては、以下のようなものが挙げられます📑

<気候>

  • 一般的に原産地に似た環境で育てた方が、良質な種ができること(日本原産の野菜はほとんど無い)

  • 温暖で湿度の高い日本の環境は、受粉の効率が悪く、病気になるリスクも高いこと

<土地>

  • 他の植物との交配をしないよう、他の畑から離れた場所で栽培できる広大な土地が必要なこと

<コスト>

  • 人件費の相対的な比較から


安価で品質の高い種を大量に生産するためには、海外で生産するという選択が合理的なため、現在の社会においては当たり前の選択ということかと思います。

現在の野菜の種の状況は、これまでの社会の変化を考えると必然的なのかもしれませんし、大きく変わることは無いのかもしれません。一方で、種を自分たちで繋ぐことができないという状況のままで良いか?というと、疑問が残るというのが正直なところです。

だからこそ、自分たちで未来の世代に種を繋いでいく、そんな取り組みを保けん野菜としても考えていきたいと思っています😊

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