かてい農園における“循環” ~土~
- 秋山 智美
- 2024年5月18日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年5月10日
前回のブログでは、「種」の循環についてお伝えさせていただきました。今回は、かてい農園における“循環”を考える上で大切になると考えているもう一つのキーワード、「土」についてお伝えさせてください。

土とは
明確に定義するのは難しいですが、「土壌」というニュアンスを含めて土を捉えると、以下のような説明ができるかと思います。
地球の表面を覆っている鉱物、有機物、気体、液体の混合物
以前、“土は何からできているか?”という話がやさい研究会で出た時に、子どもたち伝えた以下の方が、具体的なイメージがつきやすいかもしれません。
①岩などが細かくくだけた物・火山灰 ②植物や動物の死がい・ふん、小さな生き物 ③空気 ④水分
“土”と聞いて最初に頭に浮かぶものは、①岩などが細かくくだけた物・火山灰かもしれませんが、これだけでは③空気や④水を、保持することができません。植物が育つという観点で考えると、②植物や動物の死がい・ふん、小さな生き物が、とても大きな役割を果たしており、コーヒースプーン1杯の土には50億もの微生物がいると言われています。土が生命を育んでいるだけではなく、生命が土を育んでいる、とも言えるかもしれません。
世界で進む土壌の劣化
身の回りに当たり前にある土ですが、1㎝の厚みの土ができるのに、日本では100年、世界では早くても1000年もの時間がかかると言われています。そんな、とても長い時間をかけてできてきた土ですが、国連食糧農業機関(FAO)によると、地球上の土壌の33%以上がすでに劣化しており、2050年までに90%以上の土壌が劣化する可能性があると言われています。世界的に見て土のできるスピードが速い日本にいると少し感じにくいかもしれませんが、山と畑への栄養の出入りを考えてみると、畑において土壌が劣化していくのは明らかです。 例えば山では、地中に木の根が張っていたり、地表が落ち葉で覆われていたりすることに加え、落ち葉や倒木、動植物の死骸や糞などが、少しづつ供給されつづけています。一方で畑では、野菜が吸収した分の栄養分が収穫により取り出されるだけでなく、むき出しになった土からの養分の流亡も多く起こります。この流亡は、化学肥料など土に留まりにく栄養分を多く入れすぎた場合には、河川や海へ流れ、水質汚染にも繋がります。
人口に対して食料を供給する土地の面積が十分広かったり、畑から持ち出した分を適切に戻し続けられれば劣化はゆっくりですが、現状はそうはなっていません。
土をめぐる争いの歴史
世界には様々な性質の土壌が分布していますが、その中でも肥沃と言われているのがチェルノーゼム(黒土)と呼ばれる、ロシア南部からウクライナ、ハンガリーなどの東欧、カナダ、アメリカのプレーリー、アルゼンチンのパンパ、中国東北部に広く分布している土壌です。中でもウクライナは国土の6割をチェルノーゼムが占め、世界のチェルノーゼムの3割がウクライナに集中しているとのこと。世界の食糧庫とも言われる所以ですが、その一方で、周辺国からの侵攻との闘いの歴史でもあります。
また日本が行った満州への移民事業も、植民地経営を有効に実行するという目的の他に、日本の農村における土地不足、過剰人口の解決も大きな目的だったと言われています。
土を循環することの価値
劣化が進み、争いの火種にもなり得る土ですが、冒頭でお伝えした構成要素のうち、「②植物や動物の死がい・ふん、小さな生き物」については、生ごみや落ち葉など、身の回りのものを上手く活用することで一定補っていくことが可能だと思っています。また、適切に土に還せれば価値がある生ごみですが、現在は家庭から出るものは殆どが焼却され、最終処分場に埋め立てられていること、化学肥料の殆どを海外に依存していることを考えても、生ごみを土に戻していくことは大切になってくるのではないかと思っています。
現在はまだ堆肥づくりを学びながら、具体的にどのように現実的な循環を作っていけるかを思考中ですが、少しづつ、かてい農園の中で「土」の循環を作っていきたいと考えています。
※写真は、傷みなどにより出荷が難しかった野菜が、畑に戻されている様子です。もったいない…、と思われるかもしれませんが、この後粉砕をし、土の中で微生物が分解を進め、また次に栽培する野菜の養分となっていきます。(土に微生物が多くいる畑に、土の量に対してわずかな量の野菜の残渣を入れ、次の栽培までの期間がある程度あるため、畑にそのまま入れても分解が進みますが、ご家庭で直接土に生ごみ等を入れるのはお避けください。)








