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種のはなし ~品種改良~

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2023年4月15日
  • 読了時間: 4分

更新日:2023年10月28日

現在、皆さんに野菜をお届けいただいている『ないとう農園』さんの野菜セット。箱を開けると、初めて見た、初めて聞いた名前、の野菜も多いのではないかと思います🧐


スーパーにも様々な品種の野菜が並んでいますが、それぞれの野菜の品種までは表示しないことが多いため、品種の名前を目にする機会があまりありません。加えて、内藤さんが農園スタート当初から大切にされている“固定種”と呼ばれる品種は、なかなかスーパーに出回ることが無いのも、冒頭の「初めて」に繋がっているのではないかと思います。

※固定種:何代にも渡って、種を取り、育てていく、ということを繰り返すことで、野菜の特性が定着ししていったもの。


そこで今回は「種」について、その中でもまずは「品種改良」についてお伝えさせてください。

品種改良の歴史

品種改良は遺伝子の変化によりわれますが、農耕が始まって以降、様々な品種改良が行われてきました。これまでの方法を時系列で簡単にご紹介します。


1.自然界からの選抜

自然界での交配、突然変異などにより生まれた、使いやすい種を選抜することから始まりました。突然変異は、紫外線などにより切断された遺伝子が元に戻らずに別の並びになったり、何等かの理由で別の生物の遺伝子を取り込んだりすることで起こります。


2.人為的な交配

例えば、美味しいけど弱い、美味しくないけど強い、という種を掛け合わせることで、美味しくて強い種を作るという、交配による方法です。品種改良と聞いて、まず最初に思い浮かべる方法かもしれません。

野菜ではないですが、無精卵をたくさん生み続ける鶏などの家畜も、それにふさわしい特性を持った個体を選んで交配をし続けた産物です。


3.人為的な突然変異

自然界でも起こる突然変異を、放射線の照射や化学物質により大量に発生させ、その中から良い種を選び出す方法です。狙った性質の作物を作ることはできませんが、膨大な遺伝情報を読み解かずに有用な品種を生み出せる可能性があります。

4.遺伝子組み換え(GMO)

ある生物に別の生物の遺伝子を人為的に組み込むことで、目的の性質を持った種を生み出す方法です。交配が不可能な生物の遺伝子を組み込むことができるのが、大きな特徴です。利用したい農薬への耐性を持った微生物の遺伝子をトウモロコシに組み込むことで、農薬に強いトウモロコシを作る(雑草は生きられないが、トウモロコシは生きられる)ということが、可能になります。


5.ゲノム編集

その生物の遺伝子の特定箇所を酵素などを使って切断することで、狙った性質を抑え品種改良を行う方法です。野菜では、GABAの生成を抑える部分を切断することで、GABAが豊富なトマトが作られています。



日本で栽培・流通している食物の種

現在、日本で栽培をしている種のほとんどは、「1.自然界から選抜」をした種を「2.人為的に交配」して生み出してきたものです。また“ゴールド二十世紀”という梨が「3.人為的な突然変異」で生み出されて以降、この方法は稲・麦・大豆・ごぼう・梨などの品種改良に使われています。


ここまでの技術では、品種改良は最短でも数年~数十年という単位でしか行うことができず、とても時間と労力のかかるものでした。しかし「4.遺伝子組み変え(GMO)」や、特に「5.ゲノム編集」の技術が進化したことで、一気に品種改良を行えるスピードが短縮化してきています。この2つについては、耳にすることも多いのではないかと思います。


「4.遺伝子組み変え(GMO)」は、現時点(2023.04.14)で日本では食用としての栽培はできませんが、研究用の栽培や、花(青いバラやランなど)の栽培は行われています。世界では穀物を中心に栽培が広がっており、日本でも輸入品としては“遺伝子組換え不分別”のものとして、多く流通していると言われています。


また「5.ゲノム編集」は、日本では2021年に販売が開始されたGABAの含有量を高めたトマトが、現時点現時点(2023.04.14)で販売されている唯一の野菜です。他にはマダイとトラフグの品種改良に使われ、トマトを加えた3つが既に販売されています。

様々、賛否が生まれる技術かと思いますが、まずはどんなものなのか?現在どうなっているのか?を知るところから始め、今後どのような選択をしていくのかを考える材料になればと思っています。

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