食料安全保障強化に向けた様々な法整備
- 秋山 智美
- 2025年1月11日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年2月9日
2024年6月に食料安全保障上のリスクに対応するために改正法が施行された、“農政の憲法”と言われる食料・農業・農村基本法。保けん野菜でも、2023年10月~11月にかけて改正の背景や主な改正内容についてお伝えさせていただきました。
今回は、これからの農業の変化に大きく影響することが想定される、食料・農業・農村基本法の変更に伴い成立した複数の法律とその概要を、お伝えさせてください。
※もし宜しければ、こちらも併せてお読みいただければ幸いです。

食料・農業・農村基本法と改正の背景
1999年に制定された、農政の基本理念や政策の方向性を示す法律です。
「基本法」は、国政の中でも重要なウェイトを占める分野について基本理念や政策の方向性を示すことで、憲法と個別法(より具体的な個別の政策を実現するために制定される法律)を繋ぐ役割を持っています。そのため「食料・農業・農村基本法」は、“農政の憲法”とも呼ばれています。
制定から20年以上が経過し、生産者の減少・高齢化など国内の農業・流通構造の変化に加え、世界的な食料情勢の変化や気候変動に伴い、食料安全保障上のリスクが制定時には想定されなかったレベルに達している、という見解のもと、法改正に向けた動きを加速させました。
以下は、食料・農業・農村基本法の改正に伴い、施行、施行予定の法律です。食料安全保障を実現するための方針として、以下のようなことが見えてくるのではないかと捉えています。
農業生産性の向上のためのスマート農業の推進
生産性の高い事業者への農地の集約
必要な農業生産を担保するための管理強化
(2024年10月1日施行)
今後20年で1/4にまで減少することが見込まれる期間的農業従事者数に加え、そもそも他産業に比べて生産性が低い農業生産。従来の生産方式を前提とした農業生産では、今後の安定的な食料供給を確保できないことから、より生産性の高い食料供給体制を確立するためには、スマート農業技術の活用などの生産方式の転換を進めることが不可欠という背景から制定。
今回の制定により、スマート農業の導入及び成果の普及に関する計画を定め、認定された事業者への税制、融資等の特例措置を設けることで、促進を図っています。具体的にどのような技術が出てきているのか、今後想定されるのかについては、次回のブログにてご紹介させてください。
(2025年4月1月施行予定)
以下のような食料供給を不安定化させる要因の多様化、影響の深刻化が加速。不測の事態を未然に防止、または事態の深刻化を防ぐために、具体的な実行力が発揮できるよう改正。
異常気象の頻発化や被害の甚大化
家畜伝染病や病害虫の侵入や蔓延リスクの増大
新たな感染症の発生リスクの高まりに伴うサプライチェーンへの影響懸念の増加
地政学リスクの高まりによる、自給率の低い食料や肥料の輸入制限リスクの増加
不測時における対策本部の設置や、供給目標を設定しモニタリングをする品目の設定に加え、供給確保対策として生産促進要請、販売調整要請、輸入促進要請などに実行力を持たせるための措置や罰則を規定しています。
(2025年春頃 改正法の施行予定)
食料安全保障の根幹は、“人と農地の確保”という考え方に基づき、農地の総量確保と適正利用と、将来に渡って農地の総量が確保されるための措置を強化するための改正。
県の面積目標達成に向けた措置強化、適切に農地が利用されるための手続きの厳格化をした上で、人と農地の受け皿となる法人の経営基盤強化のための規制緩和などを定めています。
今回ご紹介させていただいた3つの法律に加え、環境負荷低減、生産~流通を含めた合理化、人口減少に伴う農業インフラの保全管理など、これから法案提出、施行が予定されているものが複数あります。今年中に新たな動きがある見込みのため、また改めてご紹介させてください。


