コーン期夏祭り 開催レポート
- 秋山 智美
- 2024年8月17日
- 読了時間: 10分
更新日:2025年8月12日
昨日2024年8月16日(金)、昨年に続き台風7号が近づいているタイミングと重なり前日まで開催有無を検討していたコーン期夏祭りですが、無事開催をすることができました🌽今回は、雨の中での開催となったコーン期夏祭りの様子をお届けさせてください。

開催の背景☝🏻
昨年、のらくら農場さんの畑でとうもろこしを収穫させていただいた際に、代表の萩原さんから、こんなお話を伺いました。
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とうもろこしは以下のような理由から、一般的に流通している価格で販売をしてしまうと赤字となってしまう作物。
1本収穫をするのに使う畑の面積が広い(1本のとうもろこしから収穫できる実は基本的に1本)
必要な肥料の量が多い(そもそも多いことに加え味にこだわると更に多く必要、更に肥料代はここ2~3年で2倍ほどに上昇)
農薬を使わずに栽培するには手間がかかる(虫に食べられないようにタイミングを見計らって2回に分けて穂をカットする、雑草を刈るなど)
鹿やハクビシンなど熟れた実を食べる動物が多く存在する(せっかく美味しいとうもろこしが出来ても、動物に食べられてしまうことも)
一方で、とうもろこしをとても楽しみにして下さっているお客様も多いため、現在は個人のお客様にのみ販売をしている。
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とうもろこし単体での収益性だけを考えたら栽培をやめるという選択肢もある中、「美味しい野菜を届けたい」「喜んでいただきたい」という思いで、こんなに美味しいとうもろこしを作ってくださっているということを、改めてひしひしと感じる内容でした。
そして今年は、なんと栽培面積を増やされたとのこと。昨年伺った話とも照らし合わせ、とうもろこしの作付けから、萩原さんの覚悟を感じています。 そんな思いの詰まったのらくら農場さんのとうもろこしを、一番美味しいタイミングで味わう。そんなとびきり贅沢な時間を皆さんと一緒に過ごしたいと思い、この日、この時間帯に畑に行くという、今回の場をご用意いたしました。加えて今回は、皆さんと一緒に当日収穫したとうもろこしの値段を考える時間も設けさせていただきました。
当日のスケジュール📆
当日は8:45にのらくら農場さん(長野県佐久穂町)の最寄り駅に集合し、13:30頃の解散まで、様々なカタチでとうもろこしと向き合いながら過ごしました。
最寄駅に集合
とうもろこし畑でとうもろこしを収穫
もぎたてのとうもろこしを、畑の片隅で生で堪能
森の時間に移動し、とうもろこしとドリンクのペアリング
とうもろこし料理(蒸し、焼き、かき氷)を堪能
のらくら農場 萩原さんにお話しを伺う
収穫したとうもろこしの価格を考える
収穫したとうもろこしをお土産に解散
当日の様子🌽
昨年も「気温が高く熟れるスピードが速かったため、例年以上に食べられる期間が短くなる見込み」という中での開催だったのですが、今年は更に熟れるタイミングが早まり、例年よりも10日前倒しで収穫を開始されたとのこと。収穫時期の終盤での開催となり、昨年とはまた違った畑の様子、変化と向き合う機会となりました。
最寄駅に集合
当日の朝、のらくら農場 萩原さんから当日参加される皆さんへ動画メッセージをいただきました。晴れていたら、畑で収穫前に動画メッセージを観る予定だったのですが、雨ということで駅の軒下で観ることに。皆さんにお越しいただいたお礼と共に、以下のような内容をお話いただきました。
単体では赤字となる作物にも関わらず栽培をする原動力となっている、年間を通じて野菜を食べていただいているお客様に喜んでいただける、豊かな野菜セットをお届けしたいという想い。
虫に食べられたり、シカやハクビシン、タヌキなどの動物に食べられたり、猛暑による焼けなどにより、栽培をしたとうもろこしのうち出荷できないものが50%にも及ぶようになっている、という実態。
化学農薬を利用せずに栽培をする難しさへのチャレンジとして始めた、微生物を活用した栽培の研究。

動画メッセージで萩原さんの想いやとうもろこし栽培の実態に少し触れた後は、大きく3つのエリアに分かれているのらくら農場さんの畑の中で、一番端のエリアに位置しているとうもろこし畑へ向かいます。
とうもろこし畑でとうもろこしを収穫
とうもろこし畑に到着すると、初めていらした方からはその背の高さに驚く声が、昨年もお越しいただいた方からは昨年と比べて低い様子と萩原さんからのメッセージがリンクし、なるほど…、という声が聞こえてきました。少し分かりにくいのですが、以下、今年と去年の畑の写真です。昨年は収穫期間のちょうど真ん中辺り、今年は既に畑のほとんどのとうもろこしで収穫を終えているという終盤のタイミングということで、畑の様子が全く異なっていました。
とうもろこし畑の周りは、動物から守るために電柵で囲まれています。まずは電柵の電源を切っり、囲いを開けて畑の中に入ります。
中に入ると、廃棄となってしまったとうもろこしが畑の端に沢山…。中には動物がかじった痕跡も。これらの廃棄となってしまったとうもろこしは、収穫後のとうもろこしの茎や葉と共にこの後栽培をする葉物野菜の栄養分として、畑にすき込んで行きます。
畑では虫食いや痛みがなく、大きなものを選んで収穫していきます。事前に萩原さんに伺った通り虫に食べられているものが確かに多かったものの、中にはそれから免れ、大きく立派に育っているものも。宝探しのような感覚で、美味しそうなとうもろこしを探して収穫をしていきました。
もぎたてのとうもろこしを、畑の片隅で生で堪能
とうもろこしは、なかなか食べられない“生”の刺身としていただきます。まずはそのまま、その後、塩、醤油と調味料を変えながら、堪能します。
初めて食べた方からは、その甘さに「フルーツみたい」という声も。
森の時間に移動し、とうもろこしとドリンクのペアリング
もぎたてのとうもろこしの刺身を味わった後は、畑の様子を見ながら車で山小屋 森の時間に移動し、ペアリングを行いました。当日は車の運転をされる方も多く、運転をされる方はソフトドリンンクで、飲める方はアルコールで、ペアリングを行いました。
とうもろこしの味との相性ということに加え、今回は“ストーリー”ペアリングと題して、とうもろこしそのものや、のらくら農場のとうもろこしの背景にあるストーリーと、合わせる飲み物のストーリーを重ね合わせながら楽しむ、という時間となりました。それぞれ、ぜひ、とうもろこしと重なるストーリーを想像してみていただければと思います。
(ビール)宇宙ビール (ノンアル)NINJA LAGER
(ジン)白樺ジン (ノンアル)白樺の樹液
(ウィスキー)MAKER'S MARK (ノンアル)カフェインレスコーヒー
(日本酒)純吟 無ろ過生原酒spec d (ノンアル)零の雫
とうもろこし料理(蒸し、焼き、かき氷)を堪能
ペアリングを楽しんだ後は、とうもろこしをシンプルに味わう、蒸し、焼きとうもろこしに加え、ちょっと珍しいとうもろこしのかき氷を味わいました。蒸し、焼きは皮を剥かずに調理をすることで、美味しさと水分が逃げないようにします。かき氷は砂糖を加えず、とうもろこしの甘味と旨味を生クリームで滑らかにしたシンプルなもの。とうもろこしでは無いのですが、のらくら農場さんのケールで作ったシロップとアイスのかき氷も一緒にい食べてただきました。
のらくら農場 萩原さんにお話しを伺う
途中、急遽のらくら農場の萩原さんが顔を出してくださいました。朝、農場のミーティングに参加させていただいた時の様子から、かなり忙しい1日ということを把握していたのでお越しいただくのは難しいと思っていたのですが、わざわざお越しいただいた皆さんにご挨拶をしたいということで、人参ジュースの差し入れを持ってきてくださいました。
農業を辞める選択を顔が見える範囲でもどんどん聞くようになったこと(のらくら農場さんのある佐久穂町で一番大きな農家さんが事業を閉じることになったり、のらくら農場さんで学び独立をされた農家さんが今年2人が農業を辞める選択をされたことなど)、暑さによって作れる作物が各地でどんどん変化していること(これまで70%程度は出荷できていたとうもろこしがここ数年は50%ほどに落ち込んでいること、富良野という涼しいエリアで栽培されている農家さんでさえも日差しと暑さでとうもろこしが収穫できなかった事例があること、アフリカ産で暑さに強いというオクラでさえ鹿児島では夏に栽培することができなくなってきていることなど)も教えていただき、改めて農業を取り巻く環境、ひいては私たちの食を取り巻く環境の変化を、ひしひしと感じるお話でした。
収穫したとうもろこしの価格を考える
最後に、今回収穫したとうもろこしに価格を付けるとしたらいくらにするか?ということを、参加いただいた皆さんと一緒に考える時間を取らせていただきました。かなり考えさせられることが多く、ここでの議論も含めて野菜の価格については、また改めてしっかり考え別のブログにてお送りできればと思っています。今回は、当日に出た議論の一端をお届けさせてください。
スーパーで普段買う感覚、美味しいものを百貨店で買う感覚、それにさらに現地で色々聞いたり体験をしたりしたことを踏まえての感覚を重ねていくと、500円くらいかな…。
同じく普段買っている感覚から上乗せしていくと、最大で498円という感覚。ただ、今日の経験などを取り払って、何の遠慮も無しにとうもろこしに価格を付ける、と考えると250円かな。
幼い頃から夏になれば割と手に入った野菜という感覚や、今でも無人販売所などでは100~200円位で購入ができるというイメージがある。そうゆう野菜という枠で考えると、どうしても金額もその域を出ない。
野菜セットの中の1本と考えると難しいが、とうもろこしだけが贈答用という形で届くとしたら、もっと値段が高くなるのではないか。
果物と捉えたら、3,000~4,000円は当たり前の世界なので、もっともっと高い金額でも違和感が無いかもしれない。
果物という枠で価格を付けに行くことで高く売れる、と言うのは果たして良い出口なのだろうか…。
これからスーパーで野菜が手に入らなくなるという未来が来た場合、それでも優先的に野菜を届けてもらえる、そんな関係性を構築していくことができるのであれば、子どもたちのことを考えると5,000円でも購入したいと思う。そのくらいの投資価値があるという感覚。
さきほどの萩原さんの話も踏まえ、とうもろこしが穫れなくなる、それでもこれからもとうもろこしを食べたい!と考える場合は、そして今後も価格を上げないという形であれば、確かに数千円という価格はあり得る。
どんな価値を見出すのか、どんな時間軸でどんな未来を想定して価格を考えるのかによって、同じとうもろこしでも全くつける価格が違うことを再認識すると共に、改めて保けん野菜の在り方を考えさせられる場となりました。楽しいイベント!という場を越えて、とても真剣に議論をしていただいた皆さん、本当にありがとうございました。皆さんにとっても、価格やその背景にある仕組みなどを考えるきっかけになっていたら幸いです。
収穫したとうもろこしをお土産に解散
その後、収穫したとうもろこしをお土産にお持ち帰りいただき、解散となりました。参加いただた皆さんには、ぜひ当日の様子と共に、ご自宅でとうもろこしを楽しんでいただけたらと思います。
昨年、今年と開催をしたからこそ、今回は改めてとうもろこし、そして農業の変化を感じる会となったと感じています。気候や社会の変化を考えると、この変化はさらに加速していくようにも思います。恐れるのでも楽観しすぎるのでもなく、適切な危機感を持ちながら、自分たちのできること、やるべきことを考え、しっかり向き合い、保けん野菜も少しずつアップデートしていきたいと思っています。


























































