身近にある“クローン”
- 秋山 智美
- 2024年6月1日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年6月4日
以前、かてい農園でじゃがいもを育てられている方との会話で、じゃがいもがクローンであるという話題になりました。“クローン”と聞くと、1996年にイギリスで誕生した「ドリー」や、中国で実際にサービスとして広まっている愛犬クローン、などを思い浮かべる方も多いかもしれません。本来の生態ではクローンが生じない生物に対して人為的に作り出クローンについては、倫理的な見解が様々あるかと思います。しかし実は冒頭のじゃがいものように、身の回りには多くのクローンが既に存在しています。今回は、身近にあるクローンについて、ご紹介させてください。
※かてい農園のじゃがいもの様子
クローンとは
遺伝的に同一である個体や細胞(の集合)を指す生物学の用語で、クローン羊やクローン犬は、お互いに全く同じ遺伝子組成を持った複数の羊や犬を指します。
生物の発生には雌雄両性が関与する有性生殖によるものと、雌雄両性の関与がない無性生殖によるものがありますが。前述の羊や犬などの哺乳類は本来有性生殖で新たな生命が発生する生物のため、自然現象としてクローンが誕生することはありません。
一方で無性生殖により新たな生命が発生する生物は雌雄両性の関与がないため、元の個体と新たな個体が同じ遺伝子をもちます。アメーバのように分裂するもの、コウボ菌のように出芽(体に生じたふくらみがやがて分離)するもの、胞子などはイメージが付きやすいかと思います。今回は栄養生殖という、野菜などの植物で多くみられる事例をご紹介できればと思います。
いも
学校やご自宅でじゃがいもを育てたことがある方もいらっしゃるのではないかと思いますが、多くの方は種いもを植えたのではないかと思います。そして、育てていくと花が咲いて実、種ができることもありますが、その受粉という雌雄両性が関与してできた種は次の栽培には使いません。次の育てる時には、またいもを植えていきます。このいもは受粉とは関係なく、親の個体から発生したクローンとなります。



ほふく茎(ランナー)
聞きなれない言葉かもしれませんが、身近な食べ物でいうと苺がこれにあたります。苺を育てると、株元からひょろっとランナーと呼ばれる茎が出てきて、途中で根を伸ばして新たな株をつくります。みなさんがスーパーで見かける苺も、同じ品種のものは同じ遺伝子を持つクローンということになります。
※実を育てるためにランナーをカットする様子(のらくら農場さん)
挿し木・挿し芽
身近な野菜では、サツマイモが一般的にこの方法で栽培をしています。根を持たない植物の一部分を植えると、植物ホルモンの働きにより新たな根が形成されて、同じ遺伝子を持った新たな個体として成長できるものがあります。トマト、キュウリなど、身近な野菜でもできることが知られています。
日本中のソメイヨシノは全てクローンなのですが、これは挿し木(もしくは接ぎ木)によって増えた品種というのがその背景です。
かてい農園での野菜の栽培が、身の回りの仕組みをしる、改めて認識する、新たな興味を広げる、そんなきっかけとなれば嬉しいです。








