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野菜の成長に欠かせない“硝酸塩”

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2月28日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月9日

前回のブログにて、野菜の中に発色剤にもなり得る“硝酸塩”が含まれているという旨をご紹介させていただきました。今回は野菜の成長に欠かせない栄養吸収の側面から“硝酸塩”をご紹介させていただくと共に、私たちの体への影響についてお伝えさせてください。

野菜の成長に欠かせない窒素の供給源

“硝酸塩”とは硝酸イオン(NO₃⁻)を含む化合物の総称で、野菜などの中では水分に溶けて硝酸イオンと対になる陽イオン(カリウムK⁺、カルシウムCa²⁺、マグネシウムMg²⁺など)がそれぞれ溶けて存在しています。このブログでは野菜や農業に焦点を当てるにあたり、窒素の形態に着目をして見ていきたいと思います。


ご家庭で栽培をされたことがある方は、肥料袋の裏側などで見たことが有るかもしれませんが、野菜の成長には主に以下の栄養が必要とされており、中でも最も多く必要なのが“窒素(N)”です。


たんぱく質の中に含まれる窒素ですが、たんぱく質の状態では分子が大きすぎて植物は吸収ができません。堆肥、枯死した植物、動物の死骸などに含まれるたんぱく質が微生物により分解をされたり、そもそも分解された成分が肥料として投入されたりしたものが、栄養源として植物が吸収できるものです。以下は、畑の中での窒素の形態を分解順に整理したものです。

  • たんぱく質: アミノ酸が多数結合したもの。堆肥、枯死した植物、動物の死骸など。

  • アミノ酸: アミノ基(-NH₂)とカルボキシル基(-COOH)の両方を持つ化合物。この状態になると、少量ではあるが根や葉から植物が吸収できることが分かっており、アミノ酸肥料も多く販売されている。

  • アンモニア(NH₃): 土壌中ではアンモニウムイオン(NH₄⁺)の状態で存在するため、一般的に負の電荷を帯びている土壌と引き寄せ合い、雨などが降っても流亡しにくい。植物も吸収しやすく、化学肥料に多く含まれている。

  • 硝酸(HNO₃): 土壌中では硝酸イオン(NO₃⁻)の状態で存在するため、一般的に負の電荷を帯びている土壌と反発し合い、雨などが降ると流亡しやすい。植物が最も吸収しやすい形態のため、化学肥料に多く含まれている。たんぱく質を含め、上記の成分が時間をかけて分解されると最終的にこの形態となる。


このように、硝酸塩は畑や自然界に広く存在しており、野菜を始めとした植物の生長に欠かせない成分です。


窒素を利用した野菜のたんぱく質合成と、野菜に残留する理由

根から吸収された硝酸イオンは、光合成により生成したブドウ糖と結合してアミノ酸、たんぱく質へと合成され、葉・根・茎などを成長させていきます。この合成により硝酸イオンは植物体内から無くなっていきますが、常に吸収量と合成量のバランスが一致している訳ではないため、一部が残っています。残留量が多くなりやすいケースとしては、例えば以下のようなものが考えられます。


  • 夕方~夜間にかけて

    日中、日が当たっている間は光合成が行われるため、吸収した硝酸イオンをたんぱく質の合成に利用していきますが、日が沈むと光合成は停止します。そのため、吸収した硝酸イオンが多く残りやすくなっています。

  • 日照不足 曇りや雨の日が続いた場合も、上記と同じ理由で吸収した硝酸イオンが多く残りやすくなります。

  • 肥料過多 硝酸塩の形状での窒素が多く含まれる肥料を多くあげすぎると、上記の2例とは逆に、吸収量が過剰になり、合成で使いきれないという状態になります。この場合も、硝酸イオンが多く残ることに繋がります。


食事からの硝酸塩の摂取と安全性

日本では、硝酸塩の摂取経路のほとんどが野菜と言われています。また、通常摂取をする程度では有害性は低い(プラスに働く側面もある)ということで、摂取の上限値などは設けられていません。しかし、体内で亜硝酸に変化すると(胃に他の食品がありpHが上昇していたり、乳児のように胃の機能が弱いと、亜硝酸に変化するケースがあるようです)、メトヘモグロビン血症(ヘモグロビンが酸素を運べなくなり低酸素状態に陥る症状)や、発ガン性物質の生成に繋がるリスクがあるという指摘もされているため、個人的にはあまり多く摂取したくないと考えています。

参照:農林水産省「野菜等の硝酸塩に関する情報


あまり過敏になる必要はないものの、気を付けられる範囲で摂取しすぎないという観点で、私自身が気を付けていることは以下の通りです。

  • 有機肥料を主に使っている 基本的に肥料を過剰に投入するということを農家が意図的に行うことは無いので、あまり過剰に気にする必要はないと考えてはいますが、強いて言うと、たんぱく質やアミノ酸など、徐々に分解をされて吸収されていく類の肥料(有機肥料)で栽培をされている野菜の方が硝酸塩の残留量が少ない可能性が高いと考えています。ただ、有機肥料も時間経過と共に分解をされ硝酸になっていくため、肥料に対する知識や意識の方が重要かと思います。

  • えぐみが強い場合は茹でる

    相対的に葉物野菜に多く含まれている硝酸塩ですが、水で流れていきやすく、茹でると3~4割減少すると言われています。生で食べようとした野菜のえぐみが強かった場合は、茹でて洗って使うと安心です。

この肥料に多く含まれる硝酸塩は、体内への摂取ということもさることながら、畑からの流亡による環境への影響が指摘されています。次回は肥料による環境汚染について、お伝えさせていただきたいと思います。

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