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食器や調理器具の安全性を考える

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2025年4月5日
  • 読了時間: 6分

更新日:2025年4月6日

私ごとなのですが、今月、昨年販売もさせていただいた柿の畑のある山梨県に、拠点を移すことになりました。その準備で、祖父母が暮らしていた家の片付けをしていたところ、まだ使っていない沢山の食器や鍋などの調理器具が出てきました🫖とても綺麗に保管されていたので使えるものは使いたい一方で、安全基準も変遷してきていることを考えると、作られた時期や素材などを少し気にしながら使うものを選定する必要がありました。 既にご存じの内容もあるかと思いますが、今回改めて調べてみて把握した安全基準やその変遷、それぞれの素材における使用方法における注意点などを、お届けさせてください。普段の食器や調理器具選び、使用の参考になれば幸いです。

食器や調理器具の安全性を規定する法律

食器をはじめ、鍋やフライパンなどの調理器具、ラップなど、食品に直接触れる製品については、食品や食品添加物と同様、食品衛生法で、その安全性を確保するための規制などが定められています。具体的には「第三章 器具及び容器包装」に記載されているのですが、2018年に大きな改正が行われ、2020年6月1日に施行、移行措置の期間を経て今年2025年6月1日より、この法律に則った運用へと完全に移行されることになっています。この直近の変更に加え、これまでの変遷についても少しご紹介させてください。

食品衛生法の公布(1947年)

戦後の混乱期で食料不足が深刻だった中、衛生水準がとても低い状況でした。公衆衛生の観点から食品の安全性を確保し、飲食が原因の食中毒などを防止することを目的に、制定・公布されました。食器や調理器具についても、衛生的な取り扱い、有害物質の使用禁止、規格基準の設定権限に関する規定が設けられています。ただこの時点では、具体的な禁止物質や数値基準の定めはまだ無かったようです。

重金属溶出規格の導入(1986年)

ガラス製、陶磁器製、ホウロウ引きの器具および容器包装について、鉛・カドミウムの溶出基準が国際標準化機構(ISO)の規格に準拠して制定されました。逆に言うと、食品衛生法の制定から40年近くの間、食器や調理器具については重金属についての基準が制定されていなかったことになります。


重金属溶出規格の強化(2008年)

ISO規格の見直しを受け、鉛・カドミウムの溶出限度値が引き下げられ、基準がより厳格化されました。また、100℃を超える高温で使用される調理器具(鍋、やかん、グラタン皿など)は、一般の食器よりも厳しい値が設定されました。ただし食品の温め直しなどに短時間電子レンジにかけるだけの茶碗やマグカップなどは、これには該当しません。


合成樹脂におけるポジティブリストの導入※経過措置期間(2020年)

これまでの制度はネガティブリストと呼ばれる、使用が禁止されているものを定義し、それ以外のものは使用できるという形式で、新規の物質や海外で使用が禁止されている物質であってもすぐには規制できない運用となっていました。そのため、まずは合成樹脂においてポジティブリストと呼ばれる、使用を許可するものを定義する形式へと移行することになりました。 ただし、既に使用している物質のポジティブリストへの反映可否を判断する期間として、5年間の移行措置期間と位置付けられています。


合成樹脂におけるポジティブリストの導入※本運用(2025年)

経過措置期間が終了し、今年2025年6月1日からは合成樹脂におけるポジティブリストの本格運用が開始されます。

前述の通り、基本的に現時点で把握できている危険ではないものが使われていると考えると、素材そのものについて気にしておいた方が良いのは、以下の2つかと考えています。

  • 古いもの(特に2008年以前のもの)

  • これまで使われていたが新たに禁止された素材(今後発生した場合)



素材ごとの特徴と使用時の注意点

素材そのものについては、前述の通り一般的に流通しているものについては、あまり気にしすぎなくても大丈夫ではないかと思う一方で、使い方によっては安全性を担保できないことがあります。詳細はそれぞれの製品に記載の使用方法を確認いただく必要がありますが、それぞれの素材ごとの一般的な特徴と使用する際の注意点をお伝えさせてください。


メラミン樹脂(子ども用食器など)

高温や強い酸性の環境下、表面が磨耗した状態では、ホルムアルデヒドの溶出量が増加する可能性があります。ホルムアルデヒドは一般的な食品中にもごく少量存在し、気体のホルムアルデヒドを吸引するような毒性は無いものの、多く摂取し続けるすることは望ましくありません。

  • 電子レンジなど高温での利用はしない

  • 酢・レモンなど強い酸性の食品を長時間入れない

  • 表面に傷がついたものは利用し続けない


その他プラスチック製品(保存容器、ラップなど)

それぞれの素材ごとに耐熱温度が異なり、耐熱温度を越えて利用することで有害物質が食品に移る可能性があることに加え、マイクロプラスチックが多く発生するという実験結果も報告されています。また、健康上問題ない範囲とされていますが、柔らかさを出すために添加されている“可塑剤”が溶解することがあります。

  • 耐熱温度を確認し守って利用する

    • 電子レンジOKのものでも、油が多く含まれていると高温になりやすいので注意

    • 食品に直接触れないようにしておくと安心

    • ただし、マイクロプラスチックの観点では加熱には多く利用しない方がよい可能性あり

  • 劣化してきたものは早めに交換する


陶磁器(土鍋・食器など)

ごく一部、釉薬や絵付けの絵具に鉛やカドミウムが含まれているものがあります。溶出量が基準値以下のものが販売されていますが、古いものは注意が必要です。

また、土鍋など汁気の多い料理に使うものは、目止めにより微細な穴を塞ぎ、匂いの吸着、染み出し、カビ、破損などを防ぐ必要があります。

  • 古いもの、釉薬の上から絵付けをされたもの、傷やひび割れがあるものでは、以下を避ける。

    • 酢、レモン、梅干し、トマトソースなど、酸性のものを長く入れる

    • 電子レンジやオーブンなど、高温で使用する

  • 土鍋や釉薬が全体に施されていないものなどでは、目止めをしてから利用する。


アルミニウム製品(鍋・弁当箱・ホイルなど)

表面に傷がついたり、酸、塩、アルカリなどにより、アルミニウムが溶けだすことがあります。アルミニウムは、以前はアルツハイマー病との関係性が疑われていましたが、現在はそれを裏付ける根拠はないとされています。ただし動物実験では多量に摂取することで腎臓や膀胱などへの影響、握力の低下などが認められていること、天然にも多く存在するため食品からも摂取していること、加えて食品添加物にも使われているため、特に摂取の許容量が小さい子どもにおいては注意が必要かと思います。

  • たわしなどで傷つけない、傷がついたものは使い続けない

  • 酢、レモンなどの酸、塩分が極端に高いもの、重曹などのアルカリ性のものを使用しない


テフロン加工の製品(鍋・フライパンなど)

空焚きなどで高温になると(260℃以上)分解し、有毒ガスが発生します。呼吸困難やめまい、頭痛などの症状が現れる場合があるため注意が必要です。また剥がれたテフロンは誤って摂取をしても人体には吸収されにくく、健康リスクは小さいとさています。

  • 空焚きをしない(油や食材をいれてから火をつける)

今年2025年6月1日から運用される合成樹脂におけるポジティブリストがどのような内容になるのか、引き続きウォッチをし、気になる情報などがありましたら、改めてシェアさせてください。


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