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“農政の憲法”改正に向けた動き ~改正検討の背景~

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2023年10月21日
  • 読了時間: 3分

更新日:2023年10月27日

かなり堅苦しいタイトルとなってしまいましたが、今回は“農政の憲法”とも呼ばれる「食料・農業・農村基本法」の改正に向けた動きについてです。ウクライナ情勢をきっかけに、来年の通常国会での改正に向けた検討が進められている「食料・農業・農村基本法」について、何度かに分けて私自身の解釈も含めてお伝えさせてください。

食料・農業・農村基本法とは

1999年に制定された、農政の基本理念や政策の方向性を示す法律です。

「基本法」は、国政の中でも重要なウェイトを占める分野について基本理念や政策の方向性を示すことで、憲法と個別法(より具体的な個別の政策を実現するために制定される法律)を繋ぐ役割を持っています。そのため「食料・農業・農村基本法」は、“農政の憲法”とも呼ばれています。基本法の性質を持つ他の多くの法律と同様、法律を読みなれていない私でもそこまで苦なく読めてしまうほど短い法律です。(全文はこちらからお読みいただけます。)

内容としては、国民全体の視点から農業・農村に期待される役割として「食料の安定供給」と「多面的機能の発揮」があることを明確化しつつ、その役割を果たすために「農業の持続的な発展」と「農村の振興」が必要であることを基本理念として位置付けています。恥ずかしながら、法律改正に向けた動きについてのニュースを知り初めて読んだのですが、意外だったのは「国の責務」「地方公共団体の責務」「農業者等の努力」「事業者の努力」「農業者等の努力の支援」という項目と並んで、以下の通り「消費者の役割」が明記されていたことです。

(消費者の役割) 第十二条 消費者は、食料、農業及び農村に関する理解を深め、食料の消費生活の向上に積極的な役割を果たすものとする。

改正検討の背景

食料の安定供給は、国内生産の増大を図ることを基本に、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることで実現を図っています。しかし制定から20年以上が経過し、生産者の減少・高齢化など国内の農業・流通構造の変化に加え、世界的な食料情勢の変化や気候変動に伴い、食料安全保障上のリスクが制定時には想定されなかったレベルに達している、という見解のもと、法改正に向けた動きを加速させました。

中でも以下のような状況を背景に、輸入する食品原材料および肥料や燃料を含む生産資材の価格高騰、産出国の偏りによる輸出規制、コロナ禍における国際物流の混乱などによる供給の不安定化を経験したことで、食料安全保障の強化が国家の喫緊かつ最重要課題と位置づけられたと認識しています。

  • 気候変動等による世界的な食料生産の不安定化

  • 世界的な食料需要の拡大に伴う調達競争の激化

  • ウクライナを始めとした国際情勢の緊迫化

少し余談になりますが、前述の通り特に輸入に頼る「生産資材」についての課題感が浮き彫りとなったのですが、食糧用の米・小麦の備蓄については、現在以下の通り運用されています。

  • 米(国産):100万トン程度 主食のうち4割程度を占める現在の米の消費量を基準に、10年に一度の不作や、通常程度の不足が2年連続した事態に対処しうる程度を備蓄。

  • 小麦(輸入):90万トン程度 代替輸入にかかる期間4.3カ月程度、すでに契約を終了し輸送中の量2カ月分程度を鑑み、外国産食糧用小麦の需要量の2.3か月分を備蓄。

2022年9月から始まった改正に向けて検討ですが、先月“最終とりまとめ”として農林水産大臣に提出されています。次回はこの“最終とりまとめ”の内容について、お伝えできればと思います。

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