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食品の持続的な流通・価格形成に関わる法律「食料システム法」の改正

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2025年7月27日
  • 読了時間: 4分

2024年6月に食料安全保障上のリスクに対応するために改正法が施行された、“農政の憲法”と言われる食料・農業・農村基本法。そしてそれに伴い成立した複数の法律について、これまで保けん野菜でも概要をお伝えさせていただきました。



今回は2025年6月に改正・公布され、6~12ヶ月かけて段階的に施行されることになった、食品の持続的な流通・価格形成に関わる法律「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律(食料システム法)」の概要について、ご紹介させてください。

食料の生産から消費に至る、流通・加工・小売などの様々な関係者が連携し、食品等持続的な供給を実現することを目的に、そのための事業活動の促進、価格を含めた取引の適正化に向けた措置等について定めています。

平成3年に、品質・鮮度等の重視、食生活における加工食品の地位の高まり、多品種少量消費への移行等の消費者ニーズの多様化・高度化、農産物の輸入の増大等の供給事情の変化、労働力不足、配送コスト増大等による流通コストの増大等の変化の中で、流通の構造改善を進めていくために制定された「食品流通構造改善促進法」をベースに、社会の変化と共に改正されてきています。


今回の改正の概要

2024年6月に改正法が施行された、“農政の憲法”と言われる食料・農業・農村基本法。この中で、食料の価格形成にあたり“持続的な供給に必要な合理的な費用が考慮される”よう、必要な施策を実施することが明記されました。これを踏まえ、主に以下2点についての改正が行われています。

  • 合理的な費用を考慮した価格形成

  • 持続的な食料システムの確立


<合理的な費用を考慮した価格形成>

今回の法改正では、最終的な取引条件は当事者間で決定するという“自由主義の前提を維持”した上で、食品事業者等の“努力義務”として、以下を明確化しています。

  • 持続的な供給の実現に必要な費用を考慮した価格に向けた協議の申し出があった場合、誠実に協議を行う。

  • 商慣習の見直し等、持続的な供給のための提案があった場合、検討・協力をする。

加えて、努力義務に対応した「行動規範(判断基準)」を省令で明確化し、取組が不十分な場合等は、指導・勧告等を行うこととしています。


食料品全般の価格が上昇している中、敢えて価格が上がりかねないこのような法整備を行う背景を考えるにあたり、コスト高騰を受けた現状の農産物の価格転嫁の状況を確認できればと思います。

日本農業法人協会「2022年12月 コスト高騰緊急アンケート」より抜粋
日本農業法人協会「2022年12月 コスト高騰緊急アンケート」より抜粋

この数値自体の捉え方は難しいところではありますが、価格転嫁ができず生産性改善で飲み込み切れないコスト増分を飲み込む状態が続くとすると、事業継続が難しくなる生産者が増えていくことは明らかです。今回の法改正により、一気に生産量が減ってしまうということを抑えつつ、生産の合理化等によるコス減を実現し価格競争力を持った生産物や、価格に見合った何等かの価値のある生産物が残って行く、という状態へ少しずつ移行させていくという意図を、個人的には感じています。


<持続的な食料システムの確立>

もう一つは、持続的な食料システムの確立に向けた、以下の施策の法制化です。

  • 国が策定する以下の基本方針に即した計画を策定した食品事業者等を認定し、取組を実施。

    • 農林漁業者との安定的な取引関係の確立

    • 流通の合理化

    • 環境負荷低減等の促進

    • 消費者の選択への寄与

  • 国等は、その取り組みに対する、融資・税制等の支援措置を行う。

こちらの具体的な内容は10月以降に公表される予定です。

法改正によりどの程度影響があるか、まだ見えないところではあるのですが、現時点で価格に反映されきっていないコスト上昇分は、もう一段、価格に上乗せされてくるというケースが増えてくるのではないかと考えています。

保けん野菜では、将来的な生産コスト増、生産者の減少を見込み、一般的な金額よりも高い金額で農家さんから野菜を購入し、皆さまにもスーパーなどと比較して高い金額でご購入いただいております。先んじで、このような形でご協力をいただくことで、少なくとも暫くの間は値上げをせず、今後もこの野菜を食べ続けたいという農家さんから、持続的に野菜を含めた様々な価値を届けていただける状態を作り続けていきたいと考えています。

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