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野菜の安全性について考える ~有機栽培~

  • 執筆者の写真: 秋山 智美
    秋山 智美
  • 2023年6月10日
  • 読了時間: 5分

更新日:2023年10月28日

今回も前回に続き、野菜の安全性についてお届けしたいと思います。

前回は野菜の“安全性”と聞いてまず思い浮かぶ「農薬」についての情報をお伝えさせていただきました。危険、怖いというイメージに結び付きやすい「農薬」とは逆に、今回は安全、安心というイメージが強い方も多いのではないかと思う「有機栽培」について、お伝えさせてください。

有機栽培とは

現在、日本においては「有機農業の推進に関する法律」で「有機農業」について、以下のように定義をされています。このような考え方に基づいて行われる栽培を、一般的に「有機栽培」と呼んでいます。

化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業

※「有機農業の推進に関する法律」より抜粋


この定義によると安全性については明記されておらず、“環境への負荷をできる限り低減する”ことを目的としているという事が読み取れるのではないかと思います。目的としては明記されていないのですが、法律のこの後の内容を読み進めると、このような農業が安全かつ良質な農産物の供給に繋がるという考えがベースになっているということが読み取れます。


また、ここで言う“化学的に合成された”の中には、熱による各種の化学変化、加水分解は含みません。そのため、このような処理をされた肥料や農薬は、一部利用が認められているものがあります。

遺伝子組み換え技術については、こちらのブログでも少し触れておりますので、もしよければ併せてご覧いただければと思います。



有機JAS

大きな考え方として前述のような定義がされている有機農業ですが、実際に「有機」「オーガニック」という表示をして食品を販売するに当たっては認証が必要となります。それが有機JASで、この有機JASマークを見て食品を購入するという方もいらっしゃるかもしれません。

認証に当たっては、基準に応じた方法で生産から出荷まで行われているかを、生産工程管理記録として日々記録した書類などと、実地検査を毎年行います。認証に当たっての基準には、例えば以下のようなものがあります。(かなり抜粋、要約しています)

  • 利用が認められていない肥料や農薬などを使っていないか

  • 遺伝子組み換えの技術を利用していないか

  • 周辺から利用が認められていない農薬などが流入しないように対応しているか

  • 種子や苗は利用が認められていない肥料や農薬などを使わずに生産されたものか

  • 収穫後の選別や貯蔵、輸送などの管理は適切か


現在、日本の農産物でこの有機JASの認証を得ているものは、全体の0.3%程度。そのうち76%がお米です。現在、皆さんに野菜をお届けいただいている農家さん(のらくら農場、ないとう農園)も、認証は取得していません。

基本的に利用している資材は有機JASに適合するものになっていますが、認証にかかる手間

や費用をかけて取得すべきかどうか?という判断の中で、現時点では別のことに手間や費用を使うという判断をされています。



有機栽培は持続可能で安全なのか

これは私が農業の現場で働かせて頂く中で、そして一緒に働いていたスタッフ含めて、常に頭の片隅で問い続けていることではないかと思います。問い続けながら、今この現状の中で様々な観点を考慮した上での最適解を探りながら、日々農業に向き合っているというのが実態ではないかと思っています。

ここからは、かなり私自身の主観が入る情報ということを考慮して、お読みください。


<持続可能なのか>

大量に化学肥料や農薬を使うという栽培と比較すると、特に生態系という観点では相対的に持続可能性が高い手法なのではないかと思っています。今の形が正解ということではなく、良い未来に向けて考え、試し続けていくことで、より良い形になっていくのだと思っていますが、例えば、以下のようなことは気になります。

  • ビニールマルチ 土づくりや雑草を防ぐために畑の一部を覆うように使う、大量のビニールマルチのゴミは、多くの有機栽培をしている農家も含め、多くの農家で出続けています。

  • 生物農薬 病害虫の天敵となる生物を利用した農薬は増えてきています。自然の力を利用した良い方法に見える一方で、もし多用していく方向になると、それは違うのではないかと感じています。

  • ミネラル肥料としての鉱物 栄養価の高い野菜をつくるためのミネラル肥料の一部は、鉱物を採取して作られています。排出物の中に沢山含まれるミネラルを使えるようになるまでは致し方ないと思いつつ、濃度によっては有害な鉱物肥料を撒いていた記憶が蘇ります。


<安全なのか>

前回のブログでお伝えさせていただいたような農薬を使っていないため、残留農薬のリスクが無いことは言えると思います。一方で有機栽培でも多用する堆肥は、発酵が不足したものを多用してしまうと、化学肥料を多用した際と同様の状態になり得ます。

植物の生育には欠かせない「窒素(タンパク質の構成元素)」ですが、植物は「硝酸態窒素」という状態で吸収しやすくなります。しかし、この成分が植物内に多く残っていると、体内に入った際にヘモグロビンと結合をして、酸素の供給が妨げられるなど人体への影響があります。

先日、のらくら農場代表の萩原さんとお話をしていた際に危惧されていたのは、農業においても様々な資材の高騰が続いている中、良質な堆肥を使い続けられる農家さんがどれだけいるか?という事でした。味はもちろん、場合によっては安全性にも繋がる話として、受け止めた内容でした。


前回、今回と、すぐには答えの出ない、もしかすると出してはいけない、考え続けなければいけない“野菜の安全性”について、お伝えさせていただきました。


私自身今回の内容を通じて、ベースとして信頼をおける、何かあったら確認ができる、一緒により良くしていける、そんな関係性の中で、農家さんから野菜を購入させていただけていることを、改めてありがたく、何より安心なのではないかと感じる機会となりました。


このテーマについては、今後も時々、継続的に、別の観点も含めて、お届けしていきたいと考えています。

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